彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「・・・『龍星軍』といえば、この町では最強伝説のチームです。そんな肩書しょっていけば、無条件降伏でしょう。」

「け、けど!お前の苗字は珍しいだろう!?バレてんじゃないのか・・・?」

「どうでもいいですよ。」



瑞希お兄ちゃんの言葉に笑いがこみ上げる。

そんな私に、瑞希お兄ちゃんがボソリと聞いてきた。



「今でもされてんのか?」

「・・・学校がわかれたので、ありません。ただ・・・あまり、今の学校も好きじゃないかも。」



入学してから、出席番号が近い子と話はする。

移動教室やお昼を食べてくれる子達はいる。

優しくておとなしいクラスメートのみとの交流。

メアド交換をしたので、これから先の1年は彼女達と仲良くするのだろう。

お互い、知り合いのいないクラスで、『共存』していくのだろう。




「ツレとかいないのか?」

「友達は・・・あまり・・・」



考えてみれば、『友達』は少ないかもしれない。

塾とか道場の『知り合い』は多いけど・・・




「凛は・・・顔を見られると、笑われるから見せたくないのか?」



そう言われ、視線を瑞希お兄ちゃんに向ける。

真面目な顔をしていた。

同時に、これは慰められて、過去を乗り越えるためにも、マスクを外そうと言う流れに持っていかれると思った。

だから、嘘をついた。



「それだけじゃないです。」

「ていうと?」

「顔・・・・さらしちゃうと、周りにいる奴らを殺したくなるんです。」



私にできる限りの範囲で、怖い声を出した。



「反動で、フラッシュバックみたいに負の感情が飛び出ちゃうみたいなんです。」



どういう表情をしていいかわからなかったから、無表情でそう伝えた。



「無差別に、攻撃してしまうんです・・・現に、何度かしちゃったんです。気を失うまで、殺し続けました。」




目の前の相手を、じっと見つめながら言う。

これに瑞希お兄ちゃんは、私を見たまま答えない。

それで気まずくなったので、声を柔らかくしながら言った。


「殺す・・・は、大げさですが、その時のトラウマの反動でしょうね。けっこう、毎日言われ続けたんで、自分の顔が嫌いなんです。顔洗う時も、あまり見ないんで。」




それは本当。

時々、その時のことが頭によぎって嫌な気分になる。

悪い思い出をかき消したくて、クッションやベットを無意識でたたいたり、ぬいぐるみを壁に投げつけたりする。

物に八つ当たりをするが、いけないことだとわかっていてもだ。