負傷した少女の登場で、円城寺という男の子の態度が激変した。
「テメー大場(おおば)!?カンナになにした!?」
怒りと戸惑いが宿った目が、大場というソバカス男を怒鳴る。
これに怒鳴られた方は、薄ら笑みを浮かべながら答える。
「オメーの居場所を言わないから、思い知らせただけだ。」
そう言うと、『カンナ』と呼ばれた女の子の髪を引っ張る大場。
それで項垂れていた少女の顔が、さっきよりよく見えるようになった。
彼女の顔は、相当殴られたのだろう。
目の上まで腫れ上がっていた。
(ひどい・・・・!!)
護身術の試合でも、あそこまで激しい殴り合いはしない。
(これは・・・・・・本当にルール無用の実践なのね・・・!)
いや、そうだとしてもおかしい!
(女の子の顔をあそこまでひどく殴れるなんて・・・!)
いくら男女平等だといってもやりすぎじゃない!?
そう思った時、大場というソバカス男が乱暴に少女を揺さぶる。
「ほれ、起きろメスブタ!」
「くっ・・・!」
(あれ?もしかして・・・あの髪は・・・・!?)
顔の傷に見入っていた私は、もう1つの事実にも気づく。
ザンバラにされ、長さもまとまりもない栗色の毛。
「お前ら、その子の髪を切ったのか!?」
無意識に叫べば、私の声にソバカス男が反応する。
「はあ?だから?オメーはどこのもんよ?」
「はあ?お前こそ、質問に答えろ!女の子にそんなことして、男として恥ずかしくないのか!?」
そう言い返した瞬間、相手の顔色が変わる。
そこにいた全員が、同じ反応をした。
「「「「「ぎゃはははははは!」」」」」
「男としてだって、こいつ~!」
「マジ受けるんですけど!」
「えっ!?」
腹を抱え、大爆笑する男達。
おかしくないはずの言葉に笑う連中。
笑ってないのは、私と円城寺と囚われの女の子だけ。


