彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



私の本音を知らない瑞希お兄ちゃんは、いい意味でとらえたみたい。



「やっぱ、凛は話がわかるなぁー!」

「わっ!?」



そう言うと瑞希お兄ちゃんは、嬉しそうに涙目で私に頬ずりする。

それで少しだけ、罪悪感。




(お姉ちゃんと間違えて、ごめんなさい。)




心の中でこっそり謝る。

そんな私をよそに、瑞希お兄ちゃんは語る。



「ホント、嫌になるよなー!?モデルじゃねぇツッパリだ!アイドルじゃなくて不良だ!男の俺に可愛いとか!喧嘩する時も、損ばっかりでよ~!」


過去の愚痴を語る。



(そうやって文句を言う姿も愛しい・・・!)



「見た目で判断するのってムカつくよなぁ~まぁ、舐められないように努力はしたけどよぉ、どうにもならねぇこともあるしさ!同じもの食って、同じように動いてるのに、なんで烈司ばっかりデカくなったんだか・・・!?」

「え?烈司さん??」


そりゃあ、瑞希お兄ちゃんと比べれば、背は高いけど・・・



(なんでここで、烈司さんの話?もしかして、瑞希お兄ちゃん・・・)



「烈司さんみたいになりたかったんですか?ああいう男前に??」

「はあ?馬鹿!ちげーし!なんてゆーか・・・男か女か、わかんないって扱いが嫌なんだよ!」

「は?瑞希お兄ちゃん男じゃないですか?」

「へ?」



何を言ってるんだと思っていえば、目を見開いて私を見る。

その顔に・・・悪いと思いつつも、可愛いと思う。



「凛、今なんて・・・?」

「え?だから・・・男でしょう?どこからどう見ても、男じゃないですか?俺の中では、最初から完全に男ですよ。今だって・・・男性としてみています。」



最後の、最後の男性は・・・異性という意味を込めて告げる。





「初めてお会いした時から・・・優しくも頼もしいと思っています。」

「え!?マジ!?」





かなり間の抜けた声で聞き返される。

それで私も、言葉が止まらなくなった。



「嘘じゃないです。あんな・・・初対面の家出っ子を、普通は助けませんよ。みんな、不良やヤンキーはどうしようもないって言いますが、あの事がきっかけで、世の中の理不尽を、僕は知りました。」

「凛・・・!」

「だって・・・スーツを着た人も、ブランド物の服を着た人も、みんな私の前を通り過ぎて行った。あなたしか、立ち止まってくれなかった。泣いてる子供を助けたのはヤンキーのお兄さんだけだった。それが、世の中でしょう?」



『不良』だったという理由で、娘の恩人探しをやめた両親。

それがすごく、汚らしく思えて嫌だった。

本当に正しいとは何か、悪いとは何か。

気づく機会だったと思う。