彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)






「雨宮さん!」

「口ほどでもねぇーな?」

「マジムカつく円城寺!!」

「もう勘弁ならねぇ~うちの幹部を!」

「殺せー!!ぶっ殺す!!」



挑発的な円城寺という男子の態度に、四方から一斉にヤンチャそうな男子達が飛びかかる。




「さすが!1人じゃ何もできない雨宮部隊!遊んでやるよ!」




この状況に、楽しそうに笑いながら円城寺という子は迎え撃つ。

おかげで、静かだった公園は、あっという間に大乱闘状態へと化す。




「ウラぁ!!」

「ぎゃ!?」

「おらおら!」

「うわぁあ!?」

「くそ~化け物か円城寺!?」




「はわわわ・・・・!!」




突然の展開に、地図版の側で固まるしかない私。

一対複数の状況、血だらけの男子が有利だった。




(なんなのこれ!?何が起きてるの!?)



喧嘩!?


戦争!?


戦いだよね!?



〔★全部正解だ★〕



戦う周りに反し、私だけがなにもしないで立ち尽くしていた。




「どうすれば・・・!?」



こういう時、どうするべきか?

このまま静観するか、立ち去るか。

元々関係ないし、終電も近いから、帰った方がいいとは思ったが・・・





「相手は1人だ!力で押せ!」

「ちっ!クズが・・・・!」


(下種でもあるでしょう・・・)




ヤンキー達と円城寺という子の言葉に、無意識のうちにそう思った。

いくらヤンキーとは言え、怪我をした1人をリンチにするって・・・・




(よくある話でも、なんか嫌だ・・・)




そんな私の気持ちを、逆なでするように事態は急転した。






「そこまでだ、円城寺!」

「こっち見な!」

「あん!?」



「あっ!?」





その声に、私もつられて振り返った。

同時に、はらわたが煮えくり返った。






「カンナ!?」


(顔が腫れまくりの女の子!?)






いたのは、短いスカートと長いブーツを履いた女の子。

上半身はブラジャーだけを身に着け、首のあたりは真っ赤だった。

顔は・・・





「カンナ!?カンナなのか、お前!?」




知り合いらしい、円城寺という男子が問いただすほどひどかった。