「ききき、きも、きもって・・・!?」
「お前なぁ~」
ショックを受けまくる私に、ため息まじりに瑞希お兄ちゃんは言う。
「男同士で抱き合ってどーすんだよ?」
「え・・・?」
(男同士・・・?)
あ。
(しまった!!私、男の子っていう設定だった!!)
〔★一番忘れてはいけないことだった★〕
「いきなり、背後からガバッとこられると、ビビるだろーが!?」
「ご、ごめんなさい・・・・!」
そうだよね・・・
女の子同士ながらまだしも、男同士のハグは・・・アウト・・・
〔★ならば、先ほどのハグもアウトである★〕
反省する私の気持ちが伝わったのかもしれない。
瑞希お兄ちゃんは、少しだけ声を小さくしながら言った。
「あのな、凛。バイクで2ケツ・・・二人乗りするなら、つかまるなら、シートの後ろのところを持つんだぞ?」
「え?・・・そ、そうでしたか、すみません・・・」
「お前・・・バイクの後ろに乗ったことないのか?」
「いいえ?瑞希お兄ちゃんが、後ろ乗せてくれたじゃないですか?」
「はあ?」
「だから・・・あの時と同じ感じで、しがみ付いちゃいました。すみません・・・」
「あの時って・・・」
私の謝罪に、瑞希お兄ちゃんの表情が曇る。
「凛、いくつだっけ?16か?」
「まだ、15です。数え年だと16です。」
「親とか単車、乗らないのか?ツレとかに・・・乗せてもらったりは・・・?」
「いいえ・・・どちらもないです。親は車ですけど、一緒にいることないので。」
「悪い・・・仲悪かったんだな。」
「え!?いえ、そんなことないですよ!」
仲は悪くないと思うけど・・・正直、最近はウザいと思ってる。
そう思うのだって、今だけのこと。
思春期特有の反抗の芽だと思ってる。
そんな風に考え込んでいたのがいけなかった。
目の前の瑞希お兄ちゃんの動きに気づかなかった。
「凛。」
「はい?」
呼ばれて、うつむき加減だった顔を上げる。
相手と視線が合った瞬間、カチャンと言う音と共に頭が軽くなる。
「あ?」
「よっと。」
そんな瑞希お兄ちゃんの声に続いて、頭が軽くなる。
ヘルメットをはずされた。
口元が涼しくなった。
鼻から下が・・・
「・・・・・・・・・え?」
鼻の頭から下を隠していたバンダナ。
それが喉まで下がっていた。
「なんだ。キレイな顔してんじゃんか?」
そう言って、闇夜で笑う瑞希お兄ちゃんの方が綺麗だと思った。


