彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



明かりの消えた店内が施錠(せじょう)される。



「烈司、後任せていいかー?」

「OKしなくても、任せんだろうが?先行きな、瑞希。」

「おう!行こうぜ、凛。」

「は、はい。」




時間は真夜中。

closeになったお店『フェリチータ』から移動する私と瑞希お兄ちゃん。

店内に残った烈司さんが閉店作業をかって出てくれた。

1人に任せるのは悪いと思いながら、瑞希お兄ちゃんについて行く。

ついた先には、ガレージがあった。



「ここは・・・」

「俺らの駐車場だ。こいよ、凛。」

「俺ら・・・?」




手招きされて中に入る。

意外と広いスペースに、それはならべてあった。



「わぁ!すごいバイクと・・・車。」




中には、数台のバイクが止めてあった。

カバーがしてあったが、車もある。




「あいつら、駐車場代がかかるからって、うちにおいてんだよ。」




瑞希お兄ちゃんの言う『あいつら』が、誰なのかわかった。

文句言いながらも楽しそうに笑っているので、置かれていることに困ってはいないようだ。

そう思いながら、見回して気づいた。




「瑞希お兄ちゃんのバイク!!」

「お。ちゃんと覚えてたか?」




叫んで、一台の単車に近づく。

懐かしいバイク。




「覚えてますよ!後ろに乗せてもらったから。」




初めて会った時、私を乗せてくれた単車。

大きめのヘルメットをつけてもらい、後ろに座らせてくれた。

はじめて乗るバイクは、ジェットコースターよりも速くて楽しかった。

あの頃と変わらない、綺麗な単車。



「懐かしい赤色~!」

「紅(くれない)って言ってくれよ。」



感動する私に、アハハと笑う瑞希お兄ちゃん。


「あ、ごめんなさい!カッコいい紅のバイクだね!?」

「だろー!?やっぱ、『インパルス』はいいよなぁ~」

「インパルス?お笑い芸人の??」

「違う違う!こいつの名前だ!」


首をかしげる私に、苦笑しながら瑞希お兄ちゃんは言う。


「俺の愛車の『インパルス400』だよ!そういう種類のバイクなの!」

「へぇ~特徴は?」

「まぁ、性能に欠点がないな。スポーツ向けにも良い単車だ。」

「ええー!?欠点ないの!?すご~い!」


素直に感動する。

それでお兄ちゃんの口元が緩む。


「あははは!そうだろう~そうだろう~凛は違いのわかるいい子だなぁ~」


ご機嫌に言うと、私にヘルメットを渡す。