彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「携帯自体を、持ってないのかって話だよ。」

「は?」

「もしかして凛・・・!?携帯を持ってなかったから、俺らにメアド交換を言い出せなかったのか!?」

「はああ!?」



その言葉、この流れ!



(また、勘違いイベントが発生しつつある!?)



「凛。」

「うっ!?」




後悔していれば、名前を呼ばれる。

愛する人からの問いかけ。

見惚れて言えば、ぼそりと言われた。




「ごめんな、凛。」




そして謝罪の言葉。




「俺、凛が携帯持ってないって知らなくて・・・そっか、そりゃあ、アドレスがないわな・・・」

「ううう!」




そう言いながら落ち込む姿。




(いけない!悲しませている!!)




慌てて誤解を解こうとしたのだけど・・・






「悪かった、凛!嫌な思いさせちまって!!」

「へ?」





最初に思ったのは良い匂い。

体を覆うぬくもりと、顔に当たるサラサラの髪。





(これはまさか―・・・・!!?)


「わかる!わかるぜ、その気持ち!俺も、携帯持ったのは遅い方だったから・・・散々からかわれて嫌な思いした!凛も、嫌な気分になるよな?」




(ひゃああああああああああ!!)


わかる!わかるよ、この状況!!



これは確実に私はぁーーーーー!!






(抱きしめられてるっ!!?)






全身の血が頭に集まる。

顔が熱くなるのがわかる。

それ以上に、瑞希お兄ちゃんの・・・!!





「凛の様子が変だったのは、そのせいだったんだな・・・。ごめんな?」




私を胸板に押し付け、のぞき込んでくる瑞希お兄ちゃん。

息のかかる距離。

めまいが発生して、メロメロになる。






(あああああああ!幸せ!!)



〔★凛は幸せの絶頂にいた★〕



この状況に、私は思う。





(せっかくの瑞希お兄ちゃんからのアドレス交換の申し出があったけど・・・)




「隠さなくていいんだぞ、凛。お前、携帯持ってないんだろう・・・?」

「はい、持ってません。」




気まずそうに聞く瑞希お兄ちゃんに、キリッとした顔で答える。

気づけば、そう返事をしていた。




(嘘はいけないけど、世の中には『必要な嘘』もあるよね・・・!?)




だって、今誤解を解くと、愛の抱擁(ほうよう)が終わっちゃう~

少しでも長く味わいたいじゃん?

嘘は悪いことだけど、私、ヤンキーになるわけだし~!

総長を務めるなら、これぐらいの嘘、しかたないよねー!?



(だって、僕、ヤンキーだもん♪)



〔★凛はヤンキーを都合よく使った★〕
〔★嘘の泥沼に、はまってしまった★〕