彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



「伊織のことまで気を使いやがって・・・そういうとこ、ほっとけないんだよなー可愛い奴~!」

「う、うううう・・・!」


(う、嬉しいけど、素直に喜べない!)




ニコニコしながら言う相手に、もはや罪悪感しかない。

だからと言って、バイトを引き受けると、身の破滅(はめつ)・・・



「違います!本当にわ・・・僕は悪いやつですから!本当に、あの!本当に・・・瑞希お兄ちゃんが望むなら、お店の手伝いはします!だから、バイトじゃなくて、お手伝いでいいです!」

「はあ!?手伝い??」

「そうです!ヤンキーの先輩として、今後ご指導いただく上での修業にもなります!お手伝いで十分です!無償で働きますから!頑張ります!」

「な・・・何言ってんだよ、凛!?タダ働きするってのか!?」

「まったくだぜ。ラッキーじゃんか、瑞希。」

「オメーは黙ってろ!!」



私の言葉に困惑しつつ、仲間の言葉を一喝(いっかつ)してから瑞希お兄ちゃんは言った。



「凛、モニカから何か聞いたのか?それで、遠慮してんのか?」

「いいえ、モニカさんとはあれ以来あってません。」

「じゃあ、伊織か!?伊織が、ごちゃごちゃ言ったんだな!?」

「いいえ、獅子島さんともお話してません。」

「となると・・・皇助は削除で、烈司!?」

「百鬼さんが削除で・・・烈司さん?え?なにか、わた・・・僕におっしゃいましたっけ??」

「消去法っで、俺に疑いかけんなよ。」



ギロッとした目でニラむ瑞希お兄ちゃんと、不安な気持ちで見る私を見比べながら烈司さんは言った。



「俺はなんも、話してないぞー?」

「つーか、マジで金なしのお手伝いをしたいのか、凛は?」



烈司さんに続き、瑞希お兄ちゃんが心配そうに念押しする。

その顔にときめきながらも、首を縦に動かす。



「あ・・はい!俺は、全然かまわないんで!」

「けど、10代の貴重な時間を無償労働に使っていいのか?小遣い大丈夫かよ?」

「だ、大丈夫ですよ!」

「本当かよ?携帯代も払えてるのかよ?」

「は、払えてます!」


払ってもらってるけどね・・・




「じゃあ、番号教えろよ。」

「へ?」



そう言って、瑞希お兄ちゃんは赤色の薄いスマホを私に差し出した。