彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



カウンターで、3人並んでロースチキンと野菜の入ったサンドイッチを食べる。



「なぁ、伊織どうなった?」

「ああ、カバーできたってよ。オメーに『謝罪する』って伝えてくれって。」

「『ごめん』て単語が使えねぇのか、あいつは~?」




そう言って話す2人は、本当に仲が良かった。



(いいなぁー瑞希お兄ちゃんと仲良くして・・・うらやましい・・・)



そんなことを考えて食べていれば、不意に話をふられた。




「凛、手際が良かったな?」

「え!?そ、そうですか?」



そう言って、烈司さんから私へと視線を変える瑞希お兄ちゃん。



「そうだって!凛がきてくれて助かったからよ~接客したことあるのか?」

「いいえ、今夜が初めてでして・・・」

「ふーん・・・」



私の返事に、短くつぶやく。

何か考えるように黙った後で言われた。






「凛、うちでバイトしないか?」

「え?」





バイト?



「なぁ、そうしろよ!いいだろう?」

「えええええ!?」



まさかの仕事の誘い。

驚いたのは私だけじゃない。



「なに言ってんだお前!?」

「烈司さん。」

「総長の次は、バイトだぁ~!?どこまで、お気に入り登録する気だよ~?」



(『お気に入り』っ!?)




本日2度目のお気に入り発言。

嬉しい単語に、内心ドキドキする。

そんな私に、瑞希お兄ちゃんは心拍数の上がる笑顔で言った。



「いいだろう?オメーらじゃ、今日みたいな時に、あてになんねー」

「なっ!?お前~!人がせっかく、来てやったのを―!」

「ダメか、凛?俺のところで働くのは嫌か?」

「俺は無視かよ!?」

「凛が嫌だってんなら、無理は言わないけど・・・」

「い、いやじゃないですけど~」



(むしろ、瑞希お兄ちゃんに接近するチャンス!)


逃げしてはいけない好機!



「でも僕・・・アルバイトは、未経験で・・・」

「安心しろ!ちゃんと教えてやるから。」

「毎日は、入れないと思うので・・・」

「週一でいいって!土曜は、いつもこんな感じだからよー」

「僕でいいんですか?」

「凛だから言ってんだよ!」




肩を抱かれながら言われる。

そこまで言われたら、断れない。




「じゃ、じゃあ・・・」



働きます!

貴方のお側で!

そうすれば、働く瑞希お兄ちゃんを観察できるー!

仲良くできるー!!




(喜んで、お受けしまっす!!)





そう言いかけて、ハッとする。