彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



そのまま、合流した烈司さんと一緒に接客した。



「ありがとうございました~」

「またお越しください。」

「お気をつけて―!」



そして最後の客を、瑞希お兄ちゃん、私、烈司さんで見送る。

瑞希お兄ちゃんが、『close』の看板を出し、烈司さんが入口の明かりを消す。

私はホウキとちり取りを渡され、店内をせっせとそうじしていた。

一通り、はき終わったところで店内を見渡す。




(終わった。)




あっという間の出来事。

数時間の労働が、30分ぐらいの感覚だった。




(なんか・・・初めて働いたけど、楽しかった。)




疲れたけど、充実感があった。



(働くのが楽しいってこのことなのかな?)




誰もいなくなった店の中で大きく息を吐く。

意味も込めずに、ぼんやりとつぶやく。




(働くことって、面白かったけどーーーーー)





「疲れた・・・」

「ああ、忙しかったな。お疲れさん♪」


「っ!?み、瑞希お兄ちゃんっ!?」





声に反応すれば、いつの間にか、側まで来ていた好きな人。




「凛。」

「うっ!」




私を呼ぶ声、見る眼は、とろけるように甘い。

思わずドキッ!としたら、滑らかな口調で言われた。





「ありがとな、凛。マジで助かったわ。」




そう言いながら、いい子いい子と頭を撫でてくれた。





「っ!!!!?」


(よ、予想外のご褒美っ!?)




嬉しさに、めまいを覚える。

甘々な彼に、私がとろけてしまった。





「凛がここまでできることは・・・パーフェクトだ、いい子、いい子♪」

「え・・・えへへ!そんなぁ~・・・瑞希お兄ちゃんが喜んでくれるのなら、『僕』なんでもしますぅ~」



あれだけ、『私』と言い間違えそうになっていた『僕』呼び。

この短時間で、すっかりいたについていた。


それもすべて、瑞希お兄ちゃんのおかげ。



この至福の時間のためー♪




〔★頑張る動機が不純だった★〕