「いらっしゃいませ!」
「あう!?」
出迎えてくれたのは、愛しい笑顔。
(瑞希お兄ちゃん!!)
いきなり、初恋の彼からのお出迎え。
「・・・あ!?」
私を見た瞬間、彼の表情も変わる。
「凛!!?」
「み、瑞希お兄ちゃん!こ、こんばん・・・わわっ!?」
瑞希お兄ちゃんを見て、店内に入ってギョッとする。
「だからねー」
「明日のテストが面倒で~」
「次の会議では・・・」
カウンターもテーブルも人で埋め尽くされていた。
満席御礼。
「すごい・・・・こんな遅い時間なのに、お客さんがいっぱい・・・!?」
「凛!お前、なんでー!?」
「えへへへ、繁じょ・・・!」
繁盛してますね、と言おうとした時。
瑞希お兄ちゃんが、次の言葉を発する前に。
「お兄さん、オーダー!」
側にいたキャバ嬢のようなお姉さんが言う。
「あ、はい、すみません。」
それを受け、私から視線をそらす。
愛想よく笑ってお姉さんの前まで言って注文を取る。
「すみません、こっちも!追加でコーヒーを!」
「はい!」
「お水もらえる?」
「はい!」
「お会計してよ。」
「はい!」
怒涛のお客さんからの呼びかけ。
「あの・・・」
「はい!」
とても忙しそうにしていたの声をかけた。
それで、私にまで笑顔を向けるお兄ちゃん。
「あ・・・」
お客じゃないと気づくと、笑顔のまま、眉間にシワを寄せて近づいてきた。
「お前!紛らわしいだろう?忙しい時に・・・!!」
「す、すみません!」
怒られたことに凹みながら、店内を見渡す。
店員・・・瑞希お兄ちゃん以外に、お店の中を動いている人はいない。
「あの・・・お一人ですか?」
「そうだよ。」
お客さんの様子をうかがいながら、小声でぼやく。
口をとがらせながら言う。
「いつもは伊織がいるんだけど、急に来れないって抜かしやがって・・・」
可愛い笑顔を崩さないまま、男らしく言う姿。
(これもいい・・・!!)
心の中で見惚れしつつも、考えた。
(これ、瑞希お兄ちゃんだけじゃ無理じゃない?)
「あの、よかったら・・・」
「あん?」
「俺、手伝いましょうか?」
「えっ!!?」
そう言った瞬間、瑞希お兄ちゃんの顔が見たこともないぐらい輝いた。


