黙り込む彼らに瑞希は言う。
「ガキの喧嘩に口出す気はないが、間違えてる奴らにはお説教が必要だろう?もう、オメーらが狙われることはねぇ。」
「あんた・・・なにした・・・!?」
「オメーらの心配は取り除いた。俺も、心配だったからな?」
ニラむ大河に、微笑む瑞希。
彼から凶暴さは消えていたが、そっけなく瑞希は告げる。
「これで体温めたら帰れ。他に客がいなかったからいいようなもんをよー」
そう言って瑞希は、大河達に背を向ける。
とたんに、後輩の1人が目を見開いた。
「勘違いしてんじゃねぇぞっ!!」
「お、おい、カンナ!?」
「高千穂・・・」
声を上げたのは大河少年ではなく、少女。
仲間でさえ、その迫力に押されているのに彼女は引かない。
果敢にも、元総長へと食って掛かる。
止めようとする仲間よりも早く、背を見せている先輩に向かって叫んだ。
「見損なうんじゃねぇーぞ!あたしは、凛道に礼もなにも言えてねぇんだよ!!」
「礼?」
首だけで振り返った相手にカンナは言う。
「そーだよ!あいつ・・・あたしの頼み、聞いてくれたんだ!女だって、小馬鹿にしないでさぁー」
「カンナ・・・」
目に見えて落ち込むカンナ。
「あいつさ・・・無関係なのに、あたしを助けたんだぜ?大河だって・・・!まさか、自転車で運ぶとは思わなかったけどよ!お茶目を持った硬派ジャンか!?」
「いや、お茶目というかあいつは・・・」
「もういいカンナ!」
瑞希が弁解する前に、大河が言った。
「腹の探り合いはやめようぜ。」
「探り合い?俺とお前がか~?」
小馬鹿にした口調で瑞希が言う。
それにカンナ達はムッとするが、大河は表情を変えない。
「直接あいつとまともに話せたカンナと俺からしても、『凛道蓮』はヤンキーらしくない。」
「ほう?それで?」
「結果で言えば、強いかもしれねぇ。けど・・・あれは『不良』っていう分類じゃない。」
「そうだな・・・よく泣いてたし、百貨店の店員みたいな言葉遣いだったな。」
「それも含めて、俺らはあいつが只者じゃないと思ってる。」
「へぇー・・・そうか。」
真剣に話す大河をよそに、慣れた手つきでカップに中身を注ぐ瑞希。
「真田瑞希先輩。」
「ん?」
そんな初代総長の動きを見つめたまま、大河は告げる。
「『凛道蓮』に会わせてくれ。」
『爆裂弾』の頭らしく、口火を切った。


