彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



ときめく私をよそに、瑞希お兄ちゃんは淡々と語る。



「わかってんだよ・・・!本当はきれいさっぱり、『龍星軍』を永久に解散させればいいことに・・・!」

「み、瑞希お兄ちゃん・・・」

「けど・・・あのチームは、烈司と皇助と、伊織とモニカと俺で作った大事な宝物だ・・・!わかってるけど・・・!」



ギュッと私の手を握りながら言った。




「消し去れねぇ・・・・!」

「瑞希・・・・。」

「・・・お兄ちゃん?」



え?嘘?



(泣いてる・・・?)



興奮を収めてしまうような顔。


涙は流していなかったが、彼は泣いていた。


声だけで、泣いていると思えた。




だから余計に許せなかった。







「一番つらいのは、俺らじゃなくて、2代目達の身内だ。」


「え?」





瑞希お兄ちゃんが言った一言。




「俺はあいつらが死ぬ原因になったんだぞ?恨まれて当然だ・・・・」

「・・・・。」




なにそれ?

恨まれる?



「瑞希!それは違って、何度もー!」

「違わなくていい!嫌われてんのは今更だけど、憎まれて当然だ!}




嫌われる?

憎まれる?






「誰が、誰を?」

「あ?」

「凛。」

「誰が、誰を恨んでるの?」

「・・・・・言わなくても、わかるだろう?」





初めて向ける、私への不快そうな顔。





「何言ってるの?」





だから、私も同じ顔で答えた。







「自滅したくせに、被害者ぶってるの?」







そう言ったら、ガシャという派手な音がした。

どうやら誰かが、コップを落としたようだった。




「・・・・凛・・・・?」





私を呼ぶ瑞希お兄ちゃんは、もう不快な顔はしていなかった。

ただ、少しだけ顔が青かった。





「おめ・・・今、なんて・・・!?」

「そうでしょう?あいつらの親が、そう言ったんでしょう?」





瑞希お兄ちゃんの言葉で唐突に浮かんだ顔。

私の両親の姿。





「グレた子供を放っておいて、死んだら『お前らが殺した』ってバカも良いところでしょう?」


そんなに頑張らなくていいよと言いながら、テストで少しだけ悪い点を取ったらものすごく怒ったくせに。





「真面目に向き合わないでおいて、いなくなったら人のせいにするの?ご立派ですね。」



私が家出した時、お互いが悪いと喧嘩した両親。

今も、相手が悪いと思っている。






「自分は悪いなんて、針の先ほども思わないんだよね。」




自分の子育ては間違ってないと、思い通りにならない子供がいけないとか言ってんだよね。






「・・・凛?」

「そんな連中の言葉、真に受けちゃだめだよ。そういう奴らだから、逃げたんだよ。瑞希お兄ちゃんのところに逃げたんだよ。」

「り・・・・・!?」


「・・・あ。」






目を見開く瑞希お兄ちゃんの顔で我に返る。




しまった!


(私、すっごく感情移入(かんじょういにゅう)しちゃってた!!)




自分と重ねて、不満を口にしちゃったよぉ!!




「と、とにかく!瑞希お兄ちゃんは悪くないですっ!!」





自分の失言を誤魔化すこともあって、私は怒涛のごとくしゃべった。