彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「真面目な話・・・・ヤンキー生活と今の生活の両立は出来ねぇーよ。やっぱり、どっちか犠牲にしなきゃなんねー・・・今の生活を考えて長い目で見れば、瑞希をゾッキーにユーターンするのはよくえねぇーんだよな。」

「はあ!?なんだよそれ!?俺の心配より、テメーの心配しろよ!」

「俺は自分の心配したうえで、オメーの身の振り方にも気をつけてる。10代で命張って支えた大将が、30年経ってもバリスタにもなれないフリーターだったら、むなしージャンか?」

「テメーこそ、プーだろうがボケ!ふざけるなよ!?」


「・・・・・・そりゃあ、オメーだ・・・・・!!」




ゾワゾワ。


「っ!?」





地を這(は)うような声と一緒に、全身に鳥肌が立った。

反射的に、声が聞こえた場所から数歩離れる。

烈司さんから逃げた。





(な、なにが・・・!?)


何が起きた?





「おふざけがすぎるのはオメーだぞ、瑞希・・・・!?」

「っ・・・てめっ・・・・!」

「れ、烈司さん!瑞希お兄ちゃん!?」






逃げた場所を見れば、瑞希お兄ちゃんの胸ぐらを掴む烈司さんがいた。

店内の照明と外から入り始めた光。

2種類のコントラストのせいで、烈司さんの顔が彫刻のように浮き彫りになっている。







「・・・・鬼・・・・?」






阿修羅みたいに、怖い顔。

無表情のはずなのに、顔が歪んで見える錯覚におちいる。





「頭の責任だ、自分が悪いとか、テメーに酔うのもそれぐれーにしろ。」

「なっ・・・!?誰が酔ってるだっ!?」

「あっ!」





烈司さんの言葉で、瑞希お兄ちゃんも相手の胸ぐらを掴む。

至近距離でにらみ合う2人。






「や、やめて・・・!」





気づけば、駆け寄って、それぞれの両手に抱き付いていた。






「やめてください!あの・・・!」





そう言って声をかけるが、2人とも私を見ない。

これが男女だったら、アツアツの見つめ合いシーンだけど、こんな物騒なラブシーンはいつまでも上映してほしくない。

もう一度、やめて・・・!とつぶやくが、2人とも答えてくれない。