彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)






瑞希お兄ちゃん探しをしていると、こういうことが時々ある。





「今日は、V系ファッションが好きな子が多いな・・・」




特に今日は、いつもとは違うビジュアル系の服を着ていた。

買っているファッション雑誌になんとなく応募して、見事当選した品。



(・・・ヤンキーファッションの中じゃあ浮くけど・・・たまには違う路線もいいよね・・・?)



時々、着ている服のことを言われる。

私の身体的特徴や身につけている物をネタにされる。

今日は服だったが、いつもは口元のマスクのことでいじられる。




「顔、半分隠してるけど、ちょっと見せてよ。」

「見せたら、瑞希って奴のことを教えてやるよ。」



そんな彼らからの要求を、最初は素直に聞いていた。

しかし、見せた後の彼らの反応は同じで・・・





「わりぃ、知らねぇんだ。」

「瑞希なんて、知るわけないじゃん?」




(・・・私の顔見たさに言うだけだったんだよね・・・・!!)



〔★見せ損である★〕




だから、途中から見せるのをやめた。

そういう風に話を振ってきたら、【瑞希お兄ちゃんのことをこいつは知らないのだ】と思って話を切り上げるようにした。

それでしつこく追いかけてきたり、無理やり腕力で言うことを聞かせようとするような奴は、拳を持って返り討ちにした。

ただ、そういう奴らばかりじゃない。

笑われたりすることもあるが、趣味が同じだと言われることもある。




「俺もそれ持ってるぜ~デザインがヤバいだろう?」

「着やすいし、安いしで良くねー?」

「今度、○○店で安売りするから行ってみー!」



みんながみんな、悪いヤンキーだとは思えない。




(そもそも、どこが危ないの境界線なんだろう・・・?)



一般人という世界に、ピンからキリがいるように、ヤンキー世界もそうらしい。






(瑞希お兄ちゃんは・・・どうしてその世界に入ったんだろう・・・?)





結局彼は、そのことを話さなかった。

私の愚痴だけ聞いて終了。

最後まで、嫌な話に付き合ってくれた。

初対面でそこまでしてくれる人はいない。







(だからこそ、もう一度会いたい・・・・!!)








そう考えながら公園を出た。