「わははは!凛助に八つ当たりすんあよー!?」
メンチを切る烈司さんに代わって、私の視界に映り込むのは元ヤン野獣。
「わははは!くじ引きは気にすんな、凛助!!再スタートなりゃあ、俺様が頭張ろうと思っるからよ~!」
「はあ!?あなたもですか、百鬼さん!?」
「なに言ってんだ、皇助この野郎!?」
「まっとうな意見だろうが、瑞希~!?オメーら小物じゃ、迫力ないだろう~!?やっぱ俺様でなきゃなぁー!わははは!」
「確かにサイズは大きいですが!」
「凛、それを世間では規格外と言うんだぞ。」
「わはははは!ビックな俺様に任せろって!俺様でNEW総長は決まりだろう!?」
「ええ!?」
(ということは、こいつも総長の座を狙ってた!?)
初対面から、人間離れした迫力を与える大男。
(そうよね・・・こんなやつに、真っ向から挑むやつはいない・・・)
と思ったけど。
「てめっ!冗談はやめろ、皇助!」
「瑞希の言う通りだ!トラクター野郎!」
「そうよぉー!あんたには無理よ!」
「総長代理をしていた、副総長の俺に任せておけ。」
(いや、そうでもなかったわね。)
現実はそうでもなかった。
仲間であり、総長候補の先輩たちが群がっていた。
〔★立ち向かう者はいた★〕
「わはははは!だったら伊織は『総長代理』でいいじゃねぇか〜!?それ以外、俺様達の中じゃ、俺様が一番身軽だからよー!」
「身軽?」
何気なくたずねれば、口のはしを上げながら百鬼は言った。
「わはははは!そうだろう!?せっかく今まで築いてきたもんが、お礼参りや襲撃でダメになっても、やり直しがきくのは、立場的に俺様ぐれーだからよー!」
「ええ!?」
(まさかこの人、みんなの生活を思って、自分を犠牲にしようとしてる!?)
「それじゃあ、百鬼さんは・・・そのために、総長へ立候補を・・・!?」
「わっはっはっ!まぁーなっ!頭張るなら、負担軽い方がいいだろう!?瑞希なんぞ、特にそうだからよ~!」
「百鬼さん・・・!」
(嘘でしょう!?彼は仲間を守る気満々だった!?)
そう言って笑う姿に、胸を撃たれた。
最初は、野蛮で俺様主義で、暴力的で乱暴者で声のデカいヤンキー度100%の人だと思ってたけど・・・!
(見直した!)
〔★凛の中の百鬼が良くなった★〕
(こんな人にも、人間らしいところがあったのね!?)
更生した(!?)瑞希お兄ちゃん達の現在を守るために・・・自ら危険を買って出るなんて・・・!
(この人、意外と仲間想いでいい人だったんだ!!)
〔★凛の百鬼への好感度が急上昇した★〕
(ただの下品な人かと思ったけど、実はワイルドでカッコ良かったんだ!すごーい!)
目からうろこで感心していたら、仲間である皆さんが言った。
「冗談きついわよ、皇ちゃん!あんたじゃ無理よ~単細胞だもん。ダメよ、ダメダメっ!」
「人並外れたパワーと行動力があるので、味方としては扱いやすいが、後先考えないで行動するところが、敵からすれば扱いやすい。プラス、女にもだらしない。よって、却下。」
「我が道を行くタイプ過ぎなんだよなー瑞希みたいに、守ろうって気が起きねーし!皇助にさせるぐらいなら、瑞希でいいじゃねぇ?」
〔★ボロクソな反対意見だ★〕
「ああん!?なんだその言いぐさは!?ケンカ売ってんのかテメーら!?」
「そ、そうですよ!そんな言い方ないですよ、みなさん!」
意地悪を言うお兄さん方を止めながら私は言う。
「百鬼さんがゲスいという気持ちはわかりますが、言いすぎですよ!無神経で、暴力的で、うるさいですが、純粋にみなさんの安全のため、総長になるとおっしゃってるだけです!いくら野蛮で、見た目が人間らしくなくても、良心はあるみたいなんですから、失礼ですよ!?」
「オメーが一番失礼なんだよ、凛助ぇぇぇ!!!!」
「ちょ、だから遠吠えはやめて下さい!ということで、僕にはわかります!百鬼さんは瑞希お兄ちゃんのために、みなさんのための生贄(いけにえ)になろうとしてるということを!!」
「「「「生贄って・・・」」」」
「凛助・・・!」
私の訴えに、困った顔をするモニカちゃんと烈司さんと獅子島さんと愛しい瑞希お兄ちゃん。
百鬼に関しては、顔を引きつらせていたが、困り顔になった瑞希お兄ちゃんが優先。
〔★百鬼の扱いがひどかった★〕


