彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「喧嘩や抗争で一番乗りするのが、特隊の役目!前に進むことだからな!」

「その結果が玉砕!?12人も犠牲になったんです!?」

「11だ、凛助!俺までカウントに入れるなボケ!」

「どうでもいいですよ!怪我人と死人が出てるのは事実でしょう!?まさか・・・2代目世代以外にも、死亡者が・・・?」

「志望した結果、死亡した奴はいる。」

「烈司さん!?」

「どうだ、いいギャグだろう?」

「どこがです!?なに笑えないブラックジョーク言ってんですか!?」





新しい煙草をくわえながら言う相手に呆れる。

しかし、烈司さんは笑える表情じゃなかった。






「ある意味、親衛も入れ替わり激しくて感心するぜ。2代目達が倒れれば、次は誰が総長だ、親隊だってことだったが・・・段々、順番待ちが出来なくなったんだ。」

「う・・・!?」



怒ってる。

無表情だけど、この人は怒ってる。

その原因は、次に烈司さんの発した言葉でわかった。






「譲ってもらった奴の中には、喧嘩で殺されちまったのもいる。そいつ以外にも、頭庇って重傷負った奴もいる。鑑別所行きも出た。それが前半の話だ。」

「前半?」


「後半は、半グレやヤクザ・・・海外マフィアともめてな。」

「ヤクザ!?どんだけ刺激に飢えてたんですかっ!?つーか、日本まで来るほど、海外マフィアはヒマなの!?」


「刺激っつーか、ヒマっつーか、ハタの奪い合いになっちまってたんだよな。」

「奪い合うって、チームのハタをですか!?」

「そういうこと。チームの特旗を奪われることは、そのチームの『終わり』を意味する。看板取られたわけだから、敗北だ。つまり俺が・・・俺達が、言いたいのは・・・」





口づけたタバコに、ライターの火をともしながら烈司さんは言った。






「自分が『龍星軍の幹部』をやりたいからって、仲間やチーム内でもめたんだ。」

「内部分裂ですか!?」

「つぶし合いとも言える。『今、総長を、親衛隊長をやってる奴を倒せば、自分がその座につける』っていう悪習ができちまってた。『龍星軍』の奴も、そうじゃない奴も、やりたい者同士で、タイマンやら、仲間割れやら、殺し合いまで、はじめちまってた・・・そこへ、チーマーに半グレが、ヤクザやマフィアに後ろ盾(だて)頼んで参戦してきてな・・・終盤戦は最低だったぜ・・・!」



(ひどい・・・!)





聞くに堪えない事実。

間接的にしか知らない私でさえ、これだけ嫌悪する。

直接知る瑞希お兄ちゃん達はもっと嫌だろう。






「・・・烈司の言う通り、マジで最悪だったな・・・」

「瑞希お兄ちゃん・・・」






現に、そうつぶやく瑞希お兄ちゃんはとても辛そうだった。

それを見て、私の中のなにかがキレた。





「本当に最低ですね!」





気づけば声を荒げていた。





「むちゃくちゃじゃないですか!?」





(好き勝手しただけでも許せないのに、瑞希お兄ちゃんに迷惑かけるなんて!!)





近くにいるのは、悲しそうな顔をした瑞希お兄ちゃん。

話をするにつれ、だんだんと元気がなくなっていく声。

悪くなる表情。

目に見えてわかる、よくない変化。





黙って聞いてたけど、あまりにも、あんまりじゃないの!?