「昔話にもあるだろう。」
「昔話ですか??」
(何故このタイミングで昔話!?)
疑問はあったが、今までのやり取りからして、この人がおかしなことを言うことはない。
そう思って聞く姿勢を取れば、話し合はじめた。
「・・・昔々、鬼と呼ばれた武将がいた。ある時、鬼武将の仕える殿様が言った。『初めて戦に出る息子のために、お前の鎧を使わせてくれ。』とな。」
「レンタルしなきゃいけないほど、家計が苦しかったんですか?」
「そうじゃない。『鬼』が身に着けている鎧なら、それだけでも敵は逃げる。鬼武将も、自分が恐れられていることを知っていたから、鎧を若様に貸して、自分は普通の鎧で戦場に出た。」
「へぇ~若様は無事だったんですか?」
「若様はな。」
意味ありげに獅子島さんは笑う。
「鬼の鎧を着た若様を、本人だと思って敵は逃げた。面白いように敵を殺せて、彼は初勝利を掴むことができた。」
「それはよかったですね!借りた甲斐がありましたね。」
「ところが、良いことばかりじゃない。自分のふりをして戦っている若様を鬼武将は側で見ていた。近くで若様を見守っていた。そこへ、敵の集団が現れて、鬼武将に襲い掛かった。」
「えっ!?」
「鎧が目印だったから、鬼の鎧を着ていない彼を、本物だとわからなかった。本当の鬼武将と知らずに敵は殺しに行った。狙い撃ちにした。」
「そんな・・・どうして!?」
「狙い撃ちにしたのは、鬼武将が長年戦場を生きた老将だったからだ。当時は、馬上に乗った武士の首は大金が出る大物だ。『鬼武将にはかなわないけど、このままじゃ死ねない。だから、他の武将クラスを狙えばいい。そいつだけでも道連れにしよう。』ということで、多勢に無勢で・・・」
「っ・・・・!」
その話にゾッとした。
同時に、あることに気づいた。
「・・・それは、『龍星軍』を継いだ2代目達のことでもあるんですか・・・?」
その例え話をしたということは。
(もし、瑞希お兄ちゃんの話と、獅子島さんが語った昔話に『同じ意味がある』なら・・・!?)
「『龍星軍』の看板を手に入れたから、自分達は強いって・・・?」
「何でもできるって思ったんだろうぜー!」
「百鬼さん・・・」
カウンターの椅子で舟をこぎながら、大柄ヤンキーは不機嫌そうに言う。
「基本、俺様達は2代目達のことにはノータッチだった!こっちがあいつらの無茶に気づいた時は・・・殺し合い真っ只中だ!」
「どうして!?どうして止めなかったんですか!?」
「どうするもなにも、俺様達にわからないように陰でコソコソ、派手にやってたんだ!調子に乗ったんかなー・・・!?」
「殺し合いって・・・みんな大怪我してやめたんですか?」
「半分はな。」
短く百鬼さんは言うと、視線を瑞希お兄ちゃんへと送る。
私もつられて、大好きな人を見た。


