彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




言われてみれば、そう。

不良からすれば、私は一般人。

格闘技は習ったけど、喧嘩は出来ない。

今日は、怒りに任せて人を殴った。

初めて、人を殴った。





(私なんかに、不良の総長なんて・・・・)






できるはず、ない。







「だから反対してるのか。」






そう思った時に届いた声。







「未経験だから、反対してるのか?」


「瑞希お兄ちゃん。」








獅子島さんの言葉を、瑞希お兄ちゃんが問いただしていた。

さっきまでとは違う、真面目な顔つき。

少なくとも、笑みは完全に消えていた。

これを受け、獅子島さんも書く動きやめて、瑞希お兄ちゃんと向き合った。






「未経験もあるが・・・うちは、走り専門じゃない。喧嘩もする。」

「凛は、庄倉を倒した。圧倒的な強さでだ。」

「ああ、そうだ。勝ったことは間違いないが、場数を踏んでない。」



(場数?)



「し、試合のことですか・・・?」

「凛!」

「試合なら・・・経験がいくつかありますが・・・」





私の言葉に、全員を視線が集まる。

瑞希お兄ちゃんに不利な空気だと感じ、とっさに言った言葉。

これに意外そうな顔をするお兄さん達の中で、獅子島さんは言った。






「それは行儀の良い『競技』のことだろう?」

「きょ、競技?」


「俺が話しているのは、ストリートファイト・・・単純に言えば、ルール無用の殴り合い、殺し合いのことだ。」


「殺し合い!?」






物騒な単語に驚けば、困ったように獅子島さんは言う。





「そういうことだ・・・戦う様子を見せてもらったが・・・お前は喧嘩慣れしてない。」

「そっ・・・!」






そりゃあ、そうよ!

初めて喧嘩したんだもん!




(試合以外で、慣れててたまるか!)




何故だろう。

なぜか、無性に獅子島さんの言い方がムカついた。

きっと、彼のしゃべり方が悪いんだわ。






「凛道。」






そう思っていたら、名前を呼ばれた。






「獅子島さん。」





話し方にムカつく人からだった。