「伊織。」
「あなたは、獅子島さんっ!?」
どことなく、ヤンキーらしくない眼鏡のお兄さんが告げる。
変わらぬ口調で真面目に彼は言った。
「元々、凛道は飛び入り参加者だ。まぁ、戦闘能力はなかなかだった。10点満点評価で、8点・・・と。」
「てっ!?なに書いてんですか!?」
生真面目に言う獅子島さんの手には、木製の用せん挟(ようせんばさみ)とシャーペンがあった。
クリップのついた下敷きサイズの板は、回覧板としてはおなじみの文房具。
それに挟まった紙に、眼鏡は何かを書き込んでいた。
「なにしてるんですか!?」
「何度も言っただろう。『記録』だ。」
「『記録』!?」
「凛道蓮についてのもろもろの測定および、それで導き出される総合評価の算出だ。」
「それは今はじめて聞きました!!」
私がそう言って抗議する間にも、カリカリと忙しそうにシャーペンを走らせる。
「やはり、迫力に欠けるな。その要因は、声が高いせいか?お前、まだ声変わりもしてないのか?発育が遅いな・・・」
「悪かったですね!」
(するわけないじゃん!私、男の子じゃないんだから!)
そう言いたいのを我慢しながら聞く。
「な、なんで、チェックしてるんですか!?突然、はじめないでください!」
「最初から測定はしていた。それを文字に起こす場所とタイミングが出来たから、今してるんだ。時に、凛道。」
私の問いを簡単にあしらいながら、獅子今さんは言った。
「お前はヤンキーじゃないだろう?」
「えっ!?」
「タイマン会場に出てきた時から、今までの話を総合すれば、そういう答えしか出ない。違うか?」
「そ、それは・・・・」
チラと、横目で瑞希お兄ちゃんを見る。
私を心配そうに見る瞳。
(否定したら、嫌われるかもしれない・・・)
そんな思いもあったけど、さすがに気づくと思ったので正直に言った。
「ヤンキーじゃ、ないです・・・」
「凛・・・」
「そうだろうな。」
観念した気持ちで言えば、瑞希お兄ちゃんが何ともいえない表情になる。
そんな私達を見ながら、獅子島さんは息を吐きながら言う。
「ヤンキーでもない奴が、いきなりヤンキーをするのは簡単ではない。」
「獅子島さん・・・」
「ましてや、ヤンキー化を飛び越えて、暴走族の総長をするなど・・・急に、てっぺんを仕切れるわけがない。そうだろう?」
(・・・・そうだよ・・・・)
獅子島さんの言葉に、私は考えさせられた。


