彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





未練がないように、振り返らずに走った。

貰った携帯で時刻を確認する。

意外と、始発に間に合いそうだったので驚いた。

もしかしたら、短い睡眠でもゆっくり眠れたのかもしれない。

早くロッカーで着替えて、こっそり家に戻って、一息つかないと。

その前に、お腹がすいてるから瑞希お兄ちゃんにもらったご飯と飲み物をお腹に入れなくちゃ。





「凛っ!!」




だから、びっくりした。

瑞希お兄ちゃんのことを考えないようにしていたら、彼の声が聞こえたから。




「―――――――瑞希お兄ちゃん?」




思わず振り返る。

この先の角を曲がれば、完全に私の姿も、瑞希お兄ちゃんの姿も見えなくなる。

その一歩手前で聞えた声。

なにごとかと、体ごと後ろを見る。








「俺は凛が大好きだぞっー!!!」







口に両手を当て、叫んでくれた。

遠すぎて、表情はわからない。

でも、聞えた声の調子からすると、悪いものじゃない。

機嫌よく、楽しそうに、言ってくれた。







「瑞希お兄ちゃん・・・・!」


私も・・・・!



「ぼく、も・・・・・!」






そんな思いで両手をふれば、彼も答えてくれた。

降ろしていた手を大きく振ってくれた。

その直後、お店から人が出てくるのが見えた。

それで涙をぬぐって、息を吸い込む。

叫んだ。







「またねっ!大好きな瑞希お兄ちゃん!!」






聞こえるかどうかわからないけど、大声で叫んで、私は角を曲がった。

捨て台詞というわけじゃないけど、それだけ言って逃げた。

きっと、私がいなくなったので、瑞希お兄ちゃんは怒られてると思う。

だけど、それを思うとおかしく思えてきた。

悪戯が成功した時のように、楽しくて、おかしくて、ほほえましい。







「えへへへへ・・・・瑞希お兄ちゃん・・・・!」






出会いは突然で、出会いも偶然だったけど。

この恋は本物。

この恋がハチャメチャなのは、それだけ相手が極上だから。





「だから普通には、いかないんだろうね~♪」






菅原凛、15歳。


またの名を凛道蓮。


龍星軍、4代目総長である。




私の恋愛は、今スタートした!!





~愛羅武勇(アイラブユー)!これが私の生きる道!~完~







~彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)~完~