裏口から、表へと移動した。
そこに烈司さん達の姿はなく、ガレージからお店の方へ入ったのだとわかった。
再び鍵をかけた裏口を見ていたら、瑞希お兄ちゃんに言われた。
「凛、送ろうか?」
「え?」
「その・・・・駅まで、連れてってやるぞ?」
その言葉に、ドキッとする。
いい意味のドキッではない。
あせる方のドキッ・・・・。
(私が駅を利用してるの、気づいてる・・・・)
隠してたつもりなのに!
そりゃあ、毎回行き帰りの方角は同じだったけど!
実際、家出した時に、私を家の近くまで送ってくれたし!
(ど、どうしよう~)
気まずいと感じる私の気持ちが、顔に出ていたのかもしれない。
困ったような笑みで彼は言う。
「バレないと思ってたのか?・・・・・・なんとなくは、予想つくだろう?」
「そ、そうですね・・・・」
「つーても、家までは知らねぇーよ。安心しな。」
そう言うと、再び私の頭をなでてくれた。
「・・・・見送りは、ここまでで、いいみたいだな?」
「・・・・・・すみません。」
言える言葉がそれしかなく、うつむきながら告げる。
これに彼は、私の髪を解きほぐしながら言った。
「凛は謝らなくていい。俺のお節介だからよ。ただな・・・・いつか、俺に教えていいって思えたら、教えてくれ。以上。」
「・・・・・・・うん。」
いつ教えるかなんてわからないけど。
この先どうなるかわからないけど。
「瑞希お兄ちゃん、また会いに来ても良い?」
何度も確かめたくて、同じ質問ばかりしてしまう。
それに、嫌な顔をすることなく、瑞希お兄ちゃんは笑ってうなずく。
「いいよ。」
私の頭から手を離すと、口元のマスクをつまむ。
「いつでも、俺に会いに来い。」
新鮮な空気が口と鼻に入る。
同時に、近い距離の瑞希お兄ちゃんの香りも強く感じた。


