彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





(本当に・・・・ハチャメチャすぎるよ・・・・)



そこまで思い出していたら、視界がぼやけてきた。



「凛?」

「え!?あ、な、なんでもないです・・・・!」



カクンと身体がゆれ、我に返る。

瑞希お兄ちゃんにはそう言ったけど、自分に何が起きていたか理解できていた。



(眠い・・・・)



強烈な睡魔。

考えてみれば、昨日の朝も早起きして、前の晩も夜更かししてた。

気をつけていても、ウトウトが止まらない。




(ダメ・・・・!ここで眠ったら~!)


「眠いんじゃないか、凛?」

「あ・・・・」




前のめりになりそうになったら、顔に暖かいものが触れる。

おでこに、瑞希お兄ちゃんの手があった。

思わず彼を見れば、もう片方の手が伸びてきた。




「寝いんだろう?寝ていいぞ、凛?」




そう言いながら、頭をなでられた。

さっきとは違う、優しいなで方。




「でも・・・」

「着いたら、起こしてやるから寝ていいぞ。」

「あ・・・」




おでこにあった手が、下へと降りて来て両目をふさぐ。

頭にあった手も下へと下がり、背中をポンポンと叩く。





「ほら、ねんね♪ちゃんと起こしてやるから・・・・」




その動きに、気が緩む。

同時に、なにかを思い出しそうになる。




(この感じ・・・・前にも・・・・?)




優しい声と、優しい体温。




「お兄ちゃん・・・・」

「ん?寝るか?」




思い出した。





「・・・・・・・今度は、置いて行かないよね?」





それで、私の背中を軽く叩いていた手が止まる。


側にいると言ったくせに、私を置いて行ったお兄ちゃん。

それが私を思っての優しさだったって、わかってるけど――――――――





「『また、遊んでくれる?』」





あの時と、おんぶされて運ばれた時と同じセリを言う。



「『お兄ちゃん・・・!瑞希お兄ちゃん・・・・』」




あの時と同じように呼ぶ。





「背も伸びよ?力も強くなったよ?バイクも乗れるようになったよ?」




一呼吸おいてから、見えない相手へと告げた。







「心も強くなったよ。」







だから。

だから、お願い。

いなくならないで。

今日までずっと一緒にいたけど、時々不安になる。

また、突然いなくなってしまうようで。

幸せな時間が終わってしまうようで。





「みず―――――――!」

「凛。」





私が言う前に、瑞希お兄ちゃんが言った。