彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




慣れた様子で止めていたトラックへと戻る運転手。

エンジンをかけ、別の警察官の誘導を受けて前に進む。

走り出したトラックのミラーに後ろの様子が映る。

トラックの次に待っていたミニバンの女性が、警官と話しはじめていた。

きっと、自分と同じような内容を聞かれ、答えているのだろう。




「やれやれ、すげー数の警察だな。」





深くかぶっていた帽子を、助手席へと投げながら運転手は言う。








「全部、兄ちゃんを狙ってるみたいだぜ?なぁ、龍星軍の総長?」


「すみません・・・」






ピョコと後ろの毛布から頭を出した。

その姿に運転手は爆笑する。




「がははは!カラつき卵みたいだな~!?」

「からつきたまご?」

「可愛いっていみだろう、凛?」




そう言って、隣からピョコと顔を出す可愛い青年。




「こっちはカラなし卵だなー?両方ヒヨコ、ヒヨコ~♪」

「はあ!?どういう意味だコラ!?」

「まぁまぁ、抑えて!瑞希お兄ちゃん~」




頬を染めて怒る彼を見ながら、マスクの下の口元をゆるめる。





「でも、びっくりしました。まさかあなたが助けてくれるなんて・・・・。」





瑞希お兄ちゃんをなだめてから、運転している人を見る。






「また、おっちゃんに助けられましたね?」

「がはははは!気にすんなよ、兄ちゃん!」







そう言って答えるのは、十文字パーキングで出会ったトラック運転手。

フジバラ警部は知らない。

山狩りをしようと分け入る山に、凛道蓮&黒子ファイブがいないことに。

目的の凛道蓮と真田瑞希が、検問検査を終えたトラックに隠れていたことに。




「絶対に捕まえるからな、凛道蓮っ!?」

(無理ですよ、おじさん・・・・)




口には出さないように、心の中でそっと返事をする。

同じ道路の上、お互いが逆方向へと進めば、会うことなんて無理。

これで完全に、今夜の鬼ごっこは終わったと思った。




〔★本物は逃げ切っていた★〕