バンダナの件では、怖い人だと思ったけど、今はそう思わない。
なんか、大丈夫そう。
話しかけられそう。
(会話が出来そう!)
だから、咥え煙草の鬼さん改め、宗方さんに声をかけた。
「宗方さんは、元ヤンの親衛隊長さんなんですか・・・?」
「『烈司』でいいぞ。そう言ってんじゃん?なに確認してんだ、オメーは?」
「い、いえ!その~」
私の問いにつまんでいた体を下におろす。
「そんなにビクつかなくても、取って食ったりするかよ。ヤンキー怖がり過ぎだぞ?」
ニヤニヤしながら、怖くない顔で私を茶化してきた。
「し、失礼しました!瑞希お兄ちゃんに続き、新たな元ヤンの登場に驚きまして~」
「わはははは!驚くのはまだ早い!!ここにいる奴は全員、元ヤンだっ!!」
「わっ!?」
弁解途中、突然、耳元で大きな声が響く。
同時に、体に重力がかかる。
「あっ!?お・・・重い・・・!?」
「わはははは!軟弱なこと言ってんじゃねぇぞ!」
それで慌てて見れば、大男が私にのしかかっていた。
「さっきの庄倉へのリンチ、見事だぜ!!俺も気に入ったぞ!」
「リンチじゃないですよ!!というよりも、あなたがやれって言ったんでしょう!?」
「百鬼だ。」
私の言葉に、拳で、うりゃうりゃとほっぺをグリグリしながら言われた。
「何度も言わせんな!俺様は百鬼皇助(ももき おうすけ)!!初代『龍星軍』の特隊だ!」
「とくたい・・・?特攻隊長?」
「そうだ!特隊してたときゃ、喧嘩はもちろん、集会と走りの時は、欠かせない活躍みせたんだぞ~!?信号止めもケツ持ちも朝飯前だ!」
「信号止め?ケツ持ち?」
「あ?んだよ・・・そんなんも知らねぇーの?仕方ねぇな・・・」
聞いたことのない単語を聞けば、百鬼は説明してくれた。
「簡単に言えば、『信号止め』が仲間が通るための道を作るんだよ。通行止め係だ。」
「へぇーじゃあ、『ケツ持ち』は?」
「ケツを触ることだ。」
「ぎゃー!?」
その言葉通り、お尻をわし掴みされた。
「なんだオメー?脂肪がつきすぎじゃんかー!?」
「いやああ!やめてー!!」
〔★凛はセクハラを受けた★〕
「やめろボケ!」
「からかうんじゃねぇーぞ!」
見かねた瑞希お兄ちゃんと宗像さんが怒鳴る。
「冗談だよ。オメーも女みたいな声出すなよー」
(女なんですけど!!)
それであっさりと、私のでん部から手を離した。
「同じ特攻するなら、セクシーなお姉さんを狙うっての!」
ヘラヘラと笑いながら百鬼は言った。
「マジな話、『ケツ持ち』ってのは、集会帰りやポリ公につかまりそうになった時に、そいつらを振り切るのが仕事だ。」
「振り切る・・・?」
「仲間が逃げれるように、しんがりを務める役目よ!最後尾を守る番人って奴だ!」
「そうなんですか・・・」
(こんな痴漢が守れるのかしら・・・)
「これでも『野獣』の百鬼様と呼ばれてたもんだぜ~?」
(しかも、完全な俺様主義者・・・)
それが第一印象だ。
〔★とんだ番人だった★〕


