彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



苦しくないのはもちろん、窒息しないことにびっくりした。




(つまみ上げの名人なのかな?)




そう思いながら顔を上げて彼を見る。

目の合った男前さんが、軽くウィンクしながら言う。




「よぉ、サンドイッチの気分はどうだった?」

「ハンバーガーじゃなくて、ですか?」

「ははは!やっぱ面白いな、お前~!とりあえず・・・凛道蓮だっけ?俺も、瑞希に習って、お前を凛と呼ばせてもらうわ。」

「ええ!?」

「ご不満か?俺が凛と呼ぶのは、おかしいとか?」

「いいえ!それはないですが・・・」





そう、タバコのお兄さんの言っていることはおかしくない。

ただ、眼鏡の人が言ったように、『別の意味』のおかしいという気持ちがあった。

眼鏡のお兄さんの言う『おかしい』と、私が感じた『おかしい』は意味が違う気がした。





(どちらにしても、何が違うのか確かめなければいけない・・・!)




それを私が疑問を口にする前に、咥え煙草のお兄さんが言った。





「この流れできたんだから、俺達も自己紹介しとかないとな。」

「え?自己紹・・・?」



自己紹介?



「そうだろう?『凛たん』と瑞希は名乗ったが、俺はまだじゃん?お前言っただろう、名乗らないのはマナー違反だって?」

「そ、それはそうですが・・・」



変えられた話題。

変更しようにも、相手の言い分の方が正論。




「いつまでも、凛たんに名無しの権兵衛は嫌だからよ~」



(というか、凛じゃなくて、凛たんって・・・・)



いろいろ言いたい気持ちになったけど、言葉にならない。

そんな私の目の前で、煙草を灰皿に押し付けながら男前のお兄さんは言った。




「俺は瑞希のツレで、元『龍星軍』初代親衛隊長、宗方烈司(むなかた れいじ)だ。」

「え!?お兄さんも元ヤン!?」

「おう。現役時代は、頭である瑞希総長を守ってたって奴だ。」

「こらこら!誰がお守りされてただー!?」

「あ~?親隊は、総長守ってなんぼだろうー?よろしくな。」




瑞希お兄ちゃんを軽くあしらうと、私へと手を差し出す。




「あ・・・これはどうも。」



それで、とっさに手を伸ばして握った。

ごつごつした手は、瑞希お兄ちゃんと違っていた。




(拳にタコが出来てる・・・殴りタコかな?)


「よろしくお願いします・・・」





観察しながら握手すれば、ぼそっと言われた。




「お前、ちっちゃい手だな~?けど、よく鍛錬してる手だ。」

「えっ!?」




その言葉にドキッとした。





(格闘技してるのがバレた・・・?)





恐る恐る相手を見れば、軽くウィンクされた。

それで違った意味でドキッとする。





(わぁー・・・これが男の色気?というより、どこか大人の安心感がある・・・。)




それが第一印象でした。



〔★凛は不思議なトキメキを覚えた★〕