「烈司?」
その口から出てきたのは、ヘビースモーカーの名前。
瑞希お兄ちゃんの声に誘われて烈司さんを見る。
「・・・。」
彼は、笑うのをやめて、神妙な顔で黙り込んでいた。
「・・・・?」
(なんだろう?)
私が聞く前に、瑞希お兄ちゃんが言った。
「客か、烈司?」
「・・・そうだな。」
そう答えると、烈司さんは自分のバイクのミラーへと視線を落とす。
そして、バンダナで隠れている口を動かした。
「団体だな。」
「えっ!?もしかして、おじさんがまた復活してきたんですか!?」
「いや、そこまで多くないな、凛たん。」
「え・・・?じゃあ、何が・・・?」
来たの?と言う前に、背後からヘッドライトが見えた。
パララララ~!!
「真田さーん!!」
「りっんー!!」
聞き覚えのある声。
誰だかすぐに分かった。
「おい、オメーら。スピード落せ。」
瑞希お兄ちゃんの指示で、全員はスピードダウンする。
そのおかげで、彼らは追いついてこれた。
にぎやかな面々が。
「マジかよ、凛!?今夜が旗揚げだったのかよ~!?」
「真田さん、どういうことっすか!?」
「カンナさん!円城寺君!」
現れたのは、いろいろと関わることが多かったヤンキーガール&ボーイ。
「俺らもいるぞ。」
「忘れてんじゃねぇー!」
「秀君に、悠斗君。こんばんはー!」
「こんばんはじゃんねぇぞ、ボケ!」
あいさつした瞬間、怒鳴られた。
爆裂弾のボスに。
「テメー、凛道!?どういうつもりだ!?」
「円城寺君?」
いきなりキレる相手の名を呼べば、憎い仇でも見るような目で言われた。


