否定する私の言葉に、瑞希お兄ちゃんもホッとする。
「そっか、よかった・・・なんともねぇならいいけど。」
「ええ・・・」
(私としては、よくないけどね。)
口では言えないことを、心の中でツッコむ。
だけど、アンニュイな顔だった瑞希お兄ちゃんに笑顔が戻る。
(この笑顔を守れるなら・・・!)
彼が思うようなキャラを演じてやろうじゃないのっ!!
「あれだけ無茶振りしたのに無傷か・・・立派に育ったな、りんどう?」
「はい!」
本当は違う。
(名前が違うけど・・・)
瑞希お兄ちゃんがそう言うならそうだ。
(瑞希お兄ちゃんが良いなら、私は何でもいい!!)
そういう思いで受け答えしたら言われた。
「あん時、りんどうは9歳だったな・・・ちっちゃくて、子猫か子犬みたいだったからよぉ~それで『りん』って呼んでたんだろうなー」
なんだそれ。
それも、なんだ。
(どこで記憶の改ざんをされた――――!?)
〔★それが凛の印象らしい★〕
なにそれ!?
瑞希お兄ちゃん、ユーホーにでも誘拐された!?
宇宙人に記憶を奪われたの!?
(・・・いいえ、落ち着くのよ、凛!)
6年も経過すれば、多少、記憶に不備が生じる!
瑞希お兄ちゃんもそう勘違いしてるだけで――――!!
「けど、ちゃんとあん時の面影が残ってんな~『りんどうれん』?」
「え?」
(りんどう・・・れん?)
「それは・・・・」
「『れん』て呼んでもよかったのに、『りん』て呼んでたのは・・・きっと、お前の姿が凛として綺麗だったからだろうな~なぁ、りん?」
「そ・・・・」
(それも私のことかぁぁぁ!!?)
〔★新たな勘違いが発覚した★〕
〔★凛へのダメージが100上乗せされた★〕
「ど・・・」
どんだけ!?
(どんだけ、思い出が変形してる!?)
確かに、名前に『りん』がつくけど、それ違うっ!!
『れん』という名前に関しては、どこから引用してきたと聞きたくなった。
「み、瑞希お兄ちゃん!」
このままじゃダメ!
誤解がとんでもないことになる前に、正直に私のことを伝えないと!
そうしようとしたのだけど――――――――
「そうだよな~そうだったよなー『凛』♪」
「・・・瑞希お兄ちゃん・・・!」
甘い声でささやかれ、綺麗な手が私の頭に着陸する。
子猫や子犬のように、ヨシヨシと撫でられる。
瑞希お兄ちゃんに撫でられる幸せ。
その幸せを知ってしまった以上、手放すことはできない。
「『りんどうれん』、いい名前だよなー?」
「はぁーい!『りんどうれん』です!瑞希お兄ちゃぁん♪」
(瑞希お兄ちゃんが良いなら、私は何でもいい。)
否定さえしなければ、こうやっていつまでナデナデしてもらえる。
〔★凛は目先の欲望を優先した★〕


