彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「早々(はやばや)と、白旗揚げんな、荒川!桜印が泣くだろう!?」

「みんな、パニックを起こしてるんですよ!こんな時に、無理にどうこうするのはーゲホ!?ゴホゴホゴホ!」

「荒川先輩の言う通りですよ~フジバラさん!ゲホゲホ!涙と鼻水が止まりませーん!」


「荒川!?岩倉っ!?」


「け、警部!コホン!私も無理でー・・・!」

「おいおい、運転手があきらめたらー!?」




ガッシャーン、ガッターン!




「「「ぎゃあああああああああ!!」」」





おじさんの声に合わせ、ついにパトカー同士がぶつかった。





「バラさん!ゲホゲホ!3号車と、7号車が、衝突してー!」




ガンっ!



「クシュン!ハックシューン!フジバラさん、後続の3台もぶつかり合って~ゴホゴホ!」





キッキッキッー!

バンバン!






「ああ!?またぶつかり合いました!?」

「あれは完全に・・・ゴホゴホ!エンジンやられてー」

「おのれ~~~~!これというのも、凛道蓮と龍星軍っ!!」



「なんで僕だけ、フルネーム!?」





いろいろツッコミどころはあったけど、それより先に、パトカー同士がどんどんぶつかり合う。





ガタン!

ガン!

ババン!




「ひー!?」

「あー!」

「ブ、ブレーキが間に合わな・・・!?」




ガッターン!





玉突き事故のように、視界を奪われたパトカー同士が、次々にぶつかり合う。


そして、おじさんのパトカーも・・・





「おい!ブレーキブレーキ!」

「ちゃんとアクセル踏め!」

「なんで運転できないんだよぉ~!?」

「っ~~~~だったら、アンタらがしろっ!!」




激しい口論の後で、運転を丸投げするかのような発言。

その言葉通り・・・





ガッシャーン!!

メキメキメキ・・・・!






車はガードレールに激突した。






「「「わぁあああああああああああああ!!」」」


「ぐおっ!?ち、ちくしょー瑞希!!」






煙が立ち込めるパトカーから、おじさんが飛び出してきたのが見えた。






「瑞希もだけど、凛道蓮!このままで済んだと思うなよ!覚えてろー!!」





先頭車両だったおじさんの車が停止したことで、他のパトカーも動きを止める。

その後も、なにかわめいていたけど。

遠ざかる風の音と、広がる距離のおかげで聞えなくなった。