彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「そろそろ覚悟決めろ!後ろで身体張ってるモニカのためにもだ!」

「いやーん、しつこーい!」



ファンファンファンファン!




「あ。」




瑞希お兄ちゃんの言葉と、後に続いた声と音で我に返る。

合コン話も気になったが、それどころではない。




「いい加減にしろ、モニカー!そこをどけ!」

「なによ~どいたら、凛ちゃんを捕まえるんでしょうが!ねぇ、みーちゃん達~まだなのぉー!?」



私のために、後ろで1人、お尻を振って・・・

単車を左右に揺らして、パトカーの侵入を食い止めてくれているオネェさんがいる。




「・・・・凛、わかってるよな?」

「は、はい!」




その瑞希お兄ちゃんの声が合図だった。

モニカちゃんの頑張りを終わらせるためにも、私は動いた。

身長に、お尻をずらした。



「よっ・・・と。」



ヨジヨジと、後ろへと下がる。



「できた・・・」



無理だと思っていたけど、上手く座ることができた。

走るバイクの上で、両手はシートの上。

ハンドルから離しても倒れない。

一応、信用している百鬼が掴んでいるから。

手放しで、体育の平均台の上をお尻で移動する感覚で動いた。



「ほっ・・・!」



入るバイクの上を移動し終えた時。

後ろのシートから、がら空きの運転席を見るのはアンバランスだった。




「お!できたな、凛!?」

「は、はい・・・」




私の移動を見ていた瑞希お兄ちゃんが手を叩く。




「いい子いい子、えらいぞ!」

「あ、ありがとうございます。」




笑顔で褒めてくれた。

その顔を見ながら思う。

出来れば、頭をなでてほしいな、と。

だけど、そんな甘い期待をする私の前に、瑞希お兄ちゃんは言った。