彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




私を思っての発言。

心中してもいいと言う(!?)彼に、愛しさが増す。




(瑞希お兄ちゃんが望むなら、なんだってしてやるわ!!)




そう思いながら、両手を離した。

言われた通り放してみたら――――――――




(・・・・あれ?)


「倒れない!?」



自転車だって、両手を離せば倒れる。

バランスを取るようにすれば、しばらくは走れる。

でも、今の私はバランス感覚なんて取ってない。

それなのに私のバイクは、私と瑞希お兄ちゃんを乗せて今まで通りに走っている。




「なんで・・・?」

「皇助のバイクが、凛のバイクひっぱってんだよ。」

「あ!?言われてみれば・・・」




例えるなら、自転車こいでる人の腕を掴んで、自分はこがずに並んで走ってるようなものに似てる!

持ってる人が楽してる感じ!




(この場合、百鬼が前を走りながら掴んできてるから、私はもっと楽してるけどね!)


「すごいですね、5号さん!」

「だろう?安心して、ハンドルを4号に預けろ、凛!」

「あず・・・えええ!?預けるんですか!?」

「わははははは!俺様の馬力じゃ、これぐれー朝飯前だ!安心して命預けな!」




そう言って、私の近くで笑う大男。



「い・・・・」



それを見て私が思うことは1つ。



(いやだ・・・・・・・・・・・!!)



こいつに命預けるって、清水寺からジャンプするぐらい危ないよ~~~!



〔★一番預けたくない相手だった★〕




「わーはっはっはっ!凛助~!返事はどうしたー!?」

「ひー!?瑞希お兄ちゃんは、何があっても僕が守るっ!」



返事にならない返事をする私に気づくことなく、瑞希お兄ちゃん後ろで淡々と指示を出す。



「4号!旗、頼むぜ。」

「任せておけ。」

「え?渡しちゃうの!?」



あれほど大事にと言っていた旗を、あっさりとグラサンの先輩に渡す瑞希お兄ちゃん。

私の問いに、楽しそうな顔で瑞希お兄ちゃんは言う。



「作戦実行には、旗、預けないとダメなんだ。」

「あんずるな。誰も取ったりせん。」

「そ、そうですか・・・」


(むしろ、あなたから奪おうなんて思わない・・・)




〔★考えただけで危険である★〕