彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




ファンファンファンファン!



甘々タイムもあったけど、ピンチには変わりない。



「もう遠慮しねぇーからな!オラ、飛ばせオメーら!単車にぶち当てる気で行け!」

「それをやって、パトカー1台壊したじゃないですか!?」

「岩倉!バラさんのしたいようにさせてやれ!」



(なっ・・・・冗談じゃないわよ!?)



とんでもないことを言う警察に、イラッとする。



(つきまとうだけでも嫌なのに、さっきみたいなことされたら瑞希お兄ちゃんが怪我しちゃう!)




〔★自分の心配をした方がいい★〕




「オラオラ!さっさとエンジン切りやがれ、馬鹿ガキ!凛道蓮!」


(本当にしつこい・・・・!)




名指しで言ってくる間にも、パトカー達は近くなってくる。


メーターを見ながら思う。

その針の動きに限界を感じる。




(本当の本当に、ヤバかも・・・)




バイクに乗り始めた日数は、瑞希お兄ちゃんと比べて短い。



(それでもこれだと――――――――――――・・・・!)



迷ったけど言った。




「瑞希お兄ちゃん!このままじゃ、追いつかれます!」

「凛、ここからは1号だ。警察の耳に入ると面倒だからな。」

「失礼しました、1号さん!どうします・・・?もう一度さっきみたいに攻撃するなら、僕が攻撃しますが・・・!?」

「いや、何度もパトカー襲えねぇーよ。」




そう言いながら、私の単車のメーターをのぞき込む。

その表情は厳しい。




「龍星軍待ちなさーい!!」

「いい加減止まりやがれ!シカトしても、追い続けるからな!!」

「バラさんも岩倉も、どっちもあんまり窓から体を出すな!」



ファンファンファン!




助手席から、後部座席から、止まるように呼び掛けてくるおまわりさん達。




「チッ!仕方ねぇーな。」




これに瑞希お兄ちゃんが舌打ちをする。

そして私に話をふってきた。



「凛!こういう場合、どうするかわかるか!?」

「ええ!?えーと・・・」

「だよな、わからねぇのが当然だ。」

「え!?わからないとわかって聞いたんですか!?」

「あははは。凛には学習してもらおうと思ってなぁ~よーく、元・総長のジャッジを見てな?」

「あ・・・」



そう言って私の頭をなでると、キリとした表情で言った。