彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「フィナーレと行こうか。」



私の予想通り、グラサンをしている獅子島さんが動く。

手にした箱から中身を出す。




(瑞希お兄ちゃんは花火と言ったけど・・・・)


「あんなに小さい箱に、花火って入るの・・・?」




夏に外で遊ぶ花火は、長くて大きい。

違和感のあるサイズ。




「あれ、爆竹なんだ。」

「え?」




私のつぶやきに、瑞希お兄ちゃんが答えてくれた。




「あれ、猪や鳥とか、獣を追い払う時に使う花火で、爆竹って奴だな~」

「獣用の爆竹とかあるんですか!?というか、4号さんからすれば警察刷毛も同然!?」


「そいうことだ。」




聞き返した直後、楽しそうな声がした。

声のした方には、獅子島さんがいる。

口元もマスクで覆われ、目元も色のついた眼鏡をかけているから表情はわからない。

わからないはずだけど・・・・



(どうしよう・・・・笑っているように思えてならない・・・・)




〔★人はそれを直感と呼ぶ★〕





「さらばだ、フジバラさん。」



カチャ!シュー!




(あ。)




そうつぶやくと、ためらうことなく、助手席側から爆竹を投げ入れる獅子島さん。




(きゃああああああ!やっちゃったー!)




この後に何が起こるか、予想できたので耳に力を入れた。

そうしたら、後ろに乗っている瑞希お兄ちゃんが私の耳をふさいでくれた。





「え!?」

(そんなことしたら、瑞希お兄ちゃんの耳が痛くなって――――――!?)





ミラー越しで彼を見れば、ニコッと笑ってくれた。




「俺のことは気にしなくていい。」




そう言われた気がした。




(ヤバい!惚れ直した――――――――!!)




私の体がしびれるように、バチバチと言う音が響く・・・と、思った。

ところが、ここで予想外のことが起きた。




パパっ・・・!



「そうはさせるか!」


バシッ!!


パーン!パパパパ!!



「むっ?」

「4号さん!?」





獅子島さんが投げたものが彼へと返される。

正確には、はじき返された。







「おじさん!?」






見れば、フジバラのおじさんが週刊誌らしい本で、爆竹をはじき返していた。