彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



意図(いと)されたのか、偶然なのかわからない。

だけど、再現されたことに運命みたいなものを感じた。


嬉しかった。





「うぐ、っひく、えぐ・・・あ、ありがとうございます、瑞希お兄ちゃん・・・!」

「ほらほら、そんなに泣くな。礼言われるほどじゃねぇーから。」

「そんなごど!だって、お兄ちゃん、交番でいなくなったからぁー・・・!」

「悪い悪い。族が交番で子供のお守りしてると、怪しまれるだろう?つーか、俺と関わるとロクなことがねぇーから・・・」

「やめて!全然そんなことない!!」





自分を皮肉る瑞希お兄ちゃんに私は言った。





「瑞希お兄ちゃんのおかげで、頑張れた!あなたがロクでもなくないこと、誰よりもわかってる!」

「お前・・・・」

「そんなことないから!悪くなんてだから、そんなこと言わないでよぉー・・・!」





涙を拭いてくれていた瑞希お兄ちゃんの手が、頬から離れる。

それに合わせて、私は彼の胸に顔を埋めながら泣く。

あの時は、貧乳じゃないかと疑った胸。

どうしてこんな胸板を、ペチャパイだと思ったのだろう。

成長して経験したからわかる。


これは貧乳ではない、と。


同性の体ではない。



〔★感動の場面に反し、凛の考えていることは失礼だ★〕




その時だった。





「ありがとうな。」




ふいに、もう一方の手が私の頬へと伸びてきた。





「お前がそう言うなら、そう思うことにするからさ。」

「あ・・・。」





そう語る手は、ハンカチなど持っていない。

私の前髪をかきあげると、頬へと手をすべらせながら言った。





「腕っぷしの強さはもちろんだが、馬鹿みたいに上品で、お人好しな天然に育ちやがってよー・・・けど、あん時の名残はあるな・・・」

「え・・・?」





そうつぶやくと、マスク越しで私の頬に手を添える瑞希兄ちゃん。





(ひー!?ほっぺに!私のほっぺに、瑞希お兄ちゃんの手が着陸!!)





それだけではない。

彼は目を細めて私を見ている。






(私だけを見つめている!)






途端に、真っ暗だった頭の中がお花畑になる。





(あああ!瑞希お兄ちゃんマジ最高!もう離陸しないでー!貴方の瞳のチャンネルは、そのままにしてー!!)





幸せいっぱいで願っていたら言われた。