彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「なんだっ!?」

「お、お兄ちゃん!?」



今、走っているのは、先ほどよりも外灯が少ない道。

薄暗がりになっていたので、余計に混乱した。




「出やがったか!」

「なにがっ――――――――――!?」





納得したように言う瑞希お兄ちゃんと、納得できていない私。

後ろに鎮座する彼の顔を見る前に、瑞希お兄ちゃんが叫んだ。




「凛!ハンドル、右にきれっ!!」

「お兄ちゃん!?」


「凛たん!」

「凛ちゃん!」

「凛道!」


(右!?)




瑞希お兄ちゃんの声と、それに続く3つの声。

いつもとは違う、あせるような、怒鳴るような声。

名前だけ呼ばれ、何の指示もない。

いいえ、言うヒマがないという感じ。




(まるで、危険を知らせるような――――――――――・・・・!?)




そんな考えが頭によぎった時だった。




パァァァーン!キッキー!!




飛び出してきた物体が、再び私に迫る。

パッと見、ライトのついていない車だとわかった。




「凛ちゃん危ない!」

「凛道、よけろっ!」

「モニカちゃん!?獅子島さっ・・・!?」




――――――――――――ドドッン!!



「きゃあぁ!?」

「くっ!?」


「え!?」


(嘘っ!?)





モニカちゃんと獅子島さんが、私をかばった。

単車に乗った状態で、モニカちゃんが車の前方にぶつかる。

それでも勢いが止まらない車の視界を獅子島さんが遮ったが――――・・・




ギギギギギギギッ!!



「モ・・・・3号さん!?4号さん!?」



ズザ!

ズザザ!!




「凛ちゃ~~~~~~~~~~~~ん!!」

「おのれぇ~~~~~!」


「ああ!?」





モニカちゃんは、それをよけるために車道から補導へ行ってしまう。

獅子島さんは、ぶつかるのを避けるためにブレーキを踏んでその場に止まったのが見えた。





「3号さーん!4号さぁーん!」


「凛ちゃーん!」

「凛道!!」




名前を呼んだら、返事はしてくれた。

生きていてホッとしたけど、ホッとできる状況じゃなかった。



「3号、4号!くそっ!」



私の後ろで瑞希お兄ちゃんが声を荒げる。

悔しそうな顔。

そこへ、残っていたバイクが近づいてくる。




ヴォンヴォンヴォン!




「凛たん、1号無事か!?」

「2号さん!」




こちらも無事ではあるが、怖い顔をしていた。

近づいてきた烈司さんに、瑞希お兄ちゃんも同じ顔で答える。




「ああ!大丈夫だが、やられたぜ!3号と4号が!」

「言ってる側から、やってくれたぜ!まだ、引きつれてねぇーだけましか!?」





そう言って話し合う烈司さんと瑞希お兄ちゃんの表情は厳しい。