彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「凛にその気がねぇーのに、ケンカ売った馬鹿共が多かったからよ。そのバカ騒ぎに誘われて、ポリ公共も出てきてんだよ。」

「ぼ、僕のせいですか!?」

「いや、凛は悪くない。悪くはないが・・・・お前と喧嘩したい奴が多すぎたってだけの話だ。」

「す、すみません・・・そういう受け付けはしてなかったんですが・・・」

「気にするな、凛。いきなり新顔が出てくれば、今まで街を走り回ってた古株もちょっかいかけてくるからよ。」

「1号さん・・・!」

「まぁ、元領土とはいえ、ほかの奴らの縄張りを凛には知らせたせいで、余計に絡まれたわけだしな。」


「はあ!?聞いてないんですけど!?」




〔★遅いカミングアウトだった★〕




「どういうこと、瑞希お兄ちゃん!?今走ってる道も、どこかのチームの領土!?」

「あはははは!今はな・・・・。元々は、俺ら龍星軍のもんだったってだけだ。」

「え!?どうして、今は龍星軍の領地じゃないんですか!?」

「陽翔が死んで解散してから、放棄したんだ。」

「あ・・・!?」

「俺らが手放したなわばりを、赤龍会とか堕裏亞が奪い合って、テメーらのもんにしたんだろうな・・・」




そう語る表情は切なくなるほど美しい。




(どうしよう!触れてはいけないデリケートな問題を聞いちゃった・・・)




返事に困り、バイクのメーターへと視線を落としていれば、肩を叩かれた。



「・・・悪い!余計なこと言ったな?」

「そ、そんなことは・・・!」




首を横に振りながら言えば、優しく微笑まれる。




「そんな顔するなよ!俺まで元気なくなるだろうー?」

「・・・・ごめんなさい・・・・」

「凛は気にしすぎなんだよ。もっと、ガンガン行ってくれよ!俺は、笑ってる凛が好きなんだからよ!」


「1号さん。」




明るく、私を気づかないながら彼は言う。