「凛!5号が足止めしてる間に、走りぬけるぞ!」
「わ、わかりました!」
「凛たん、クールに決めろよ。総長だからな。」
「え?」
瑞希お兄ちゃんに従ったら、横から別のアドバイス。
「いいえ、可愛い笑顔で慣習に答えなさい!凛ちゃんのプリティーフェイスを発動よ!」
「ええ!?」
さらに反対側から違うアドバイス。
「無表情に徹しろ。こびる必要はないぞ、凛道。」
「えええ!?」
後ろからも出されるアドバイス。
統一英のない助言。
(誰の意見を聞けばいいの!?)
〔★凛は混乱している★〕
「やめろ、オメーら!バラバラに言うんじゃねぇ!」
「1号さん!」
「こういう時は、普通でいいからな、凛。」
そう頼もしく言うのは、私の背中を守ってくださっているお方。
(瑞希お兄ちゃん!)
助けを求める目で見れば、きりっとした表情で言ってくれた。
「珍走団上等!見られてなんか言われるのが、当然だって思ってればいいんだよ!俺がいるんだから、男らしく構えてな!」
「はい・・・!漢らしく、僕がんばります・・・!」
〔★どちらもオトコ違いだった★〕
瑞希お兄ちゃんの俺がいるから発言で、乙女心が刺激される。
見とれる私に、それを見ていた他の黒子さん達が騒ぐ。
「あーん、1号チャンの言うことばっかりきくぅ~」
「うるせぇ、3号!」
「やめんか、貴様ら。もう入るぞ。」
「凛たん、おとこらしくな~」
「は、はい!」
「そうだ、何時もの凛でいいんだ!」
「はぁーい♪」
「なんか、返事に差があるなー・・・」
ぼやく声が聞こえたけど気にしない。
瑞希お兄ちゃんの前でいいところ見せなきゃ!
そう思って、まじめな顔で前を見る。
バゥン!バッバッバッ!
ヴォーン、ヴォン、ヴォン!!
バルバル、ババババ、バルルル!
フォーン!フォーン!フォォーン!
「わっはっはっ!わっはっはっはっ!!」
パァン!パァン!パァアアーン!
笑い声と爆音が響く場所を通過する。
百鬼の笑い声がよく聞こえる。
おかげで、ギャラリーや車両の人たちの声がしない。
(普通は人間の声って、機械音でかき消されるんだけど・・・)
「わはー!わはははははははははは!!」
(なんでも、百鬼の声の方が勝ってるんだろう・・・)
〔★こんなところまで野獣だった★〕


