瑞希お兄ちゃんとの再会で、浮かれて忘れていた。
思い出したくなかったこと。
元に戻せない物。
消せない事実。
苦い思いで告げた。
「これも、瑞希お兄ちゃんが貸してくれたものです。・・・・すみません」
「俺が??」
それをマジマジと覗き込む瑞希お兄ちゃん。
「こんなプリティーすぎるもんを俺が?」
その顔が険しくなる。
ひん曲がったウサギのように歪んでいた。
(気分を害したかな・・・?)
「・・・はい。ツレにウサギ年の人がいるって、お兄ちゃんは言ってましたが・・・?」
「ちょっとそれ!!」
そう言いかけた私の言葉を、綺麗なお兄さんがさえぎった。
「瑞希!もしかしてこのブレスレットは―――――――!?」
「え?」
(何か知ってるの?)
そう思った瞬間。
「ああああああああああああ!?」
質問をする前に。
「思い出した!!!」
「え!?」
私の肩を強く掴みながら、大声で瑞希お兄ちゃんは言った。
「お前、あの時の家出のちびっ子かぁ~!!?」
「えっ!?」
聞きたかった言葉と、あふれんばかりの笑顔。
「両親がお互いに悪口言いあうのに聞き飽きて、電子カード使って家出してきたちびっ子かっ!?」
「そ・・・そうです!!」
言ってほしかった言葉。
望んでいた通りの再会のシナリオ。
「やっと・・・思い出してくれたんですか!?」
椅子を倒しながら立ち上がれば、両手を広げながら言われた。
「当然だ!ごめんなぁ~時間かかって!」
「いいえ、いいえ、そんな・・・・!」
「すっかり、大きくなったなぁ~!?」
止まらない嗚咽(おえつ)のままで聞けば、ニシシ!と笑いながら抱きしめられた。
「会いたかったぞ~元気してたか!?」
「み、み、瑞希お兄ちゃ~ん!」
「おーよしよし!もう泣くな!俺ちゃんと、お前のこと思い出したからな・・・?」
「はい・・・!はい・・・!それだけでもう・・・!!」
(幸せぇぇぇ!!!)
〔★凛は幸せを手に入れた★〕
こうして、カウンター越しに抱き合う私と瑞希お兄ちゃん。
「おいおい・・・記憶にない人物から、知り合いへ上昇か?」
「わははは!調子いいじゃねぇか!?」
「それも超フレンドリー!」
「とても2度目の再会とは思えないぞ?」
私達の抱擁(ほうよう)を見ながら、呆気にとられる4人のお兄さん。
「けっきょくよー お前ら、どういう関係?」
全員を代表して聞いてくる男前のお兄さん。
これに私と瑞希お兄ちゃんは、そちらを見ながら言った。
「「迷子と保護者の関係。」」
「・・・そんな昔から、『迷子』かよ・・・。」
偶然にも、声をそろえて言う私達に、くわえ煙草のお兄さんは呆れ気味にツッコんだのでした。


