そこへ、ほんわかじゃない人が帰って来た。
「たく!さっさと仲良くなって、オメーらはよぉ・・・!」
そう言いながら、追いかけっこを切り上げた男前のお兄さんが私達の方へやってくる。
そして、私と瑞希お兄ちゃん・・・というよりも、私?の方を見ながら言った。
「・・・芝居にしたらベタ過ぎるし、素でしてんなら国宝もんだ。」
(・・・・?なんのことだろう?)
少しふて腐れながら私達を見て言うと、煙草をくわえたお兄さんは言う。
「勘違いすんなよ!俺は、オメーに文句あるわけじゃねぇー!・・・瑞希のズボラなところにムカついただけだ・・・。」
「はあ!?オメーにだけは、言われたくねーぞ!」
「黙ってろタコ!!つーことで、別に・・・・オメーが悪いわけじゃねぇし・・・まぁ、借りパクしなかったことは褒めてやんよ。」
「ほ、褒めるなんてそんな!瑞希お兄ちゃんからの品ですから、大事にできたということもあって・・・」
「ふーん・・・」
私の言葉に、相手は短くなった煙草を近くの灰皿に入れる。
「『大事』、ねぇ~・・・」
「あ、あの・・・?」
覗き込みながら言うと、軽く前髪を撫でられた。
私を撫でると、彼はさっさと席について新しい煙草を口にしていた。
(なに今の・・・?)
「オメー気に入られたみてぇーだな?」
「み、瑞希お兄ちゃん?」
ポカーンとしていれば、カウンター越しに、小声でささやかれる。
だから瑞希お兄ちゃんの言葉を、恐る恐る聞き返した。
「私・・・好かれるようなところありました?」
「義理堅いじゃねぇか?恩義、感じた相手の品物を、後生大事に、クリーニングにまで出して持っててくれたんじゃんか?可愛い奴め~」
「そ、そんな!瑞希お兄ちゃんとの思い出の品だったから、大事に出来――-――――--あ。」
そこまで言って気づく。
「出来てないっ!!」
「「「「「え?」」」」」
「う、うさぎ!!壊されちゃった・・・・!!」
思い出した事実と、無残な現実を彼らの前にさらした。
「これです!」
拳を突き出すようにして、閉じていた手を開ける。
「あ!?これはー・・・・!?」
「み、瑞希お兄ちゃんが貸してくれたウサギのブレスレット・・・・!!」
「ブレスレット??」
掌にあるのは、破壊されたアクセサリー。
ほとんど原型は残っていなかった。


