喧嘩なんかされて、瑞希お兄ちゃんの綺麗な顔に傷がついたら困るもん!!
「おやめください、お二方!!というか、瑞希お兄ちゃん!」
「な、なんだよ?」
「せっかくの申し出ですが、お預かりしていたバンダナ、頂けません!」
「「はああ?」」
「受け取りません!」
私の言葉に違った意味で顔をしかめだす2人。
いつもの瑞希お兄ちゃんじゃない!と思いながら、和平案を口にした。
「瑞希お兄ちゃんのために選んだものを、他の奴が使うとなったら、誰だってイヤですもんね・・・」
「なっ!?バカ!俺はそういう恥ずい理由で言ったんじゃ~」
赤い顔で焦る煙草のお兄さんにも、ニヤニヤする瑞希お兄ちゃん以外の3人の変化にも気づくことなく、私は言い切った。
「瑞希お兄ちゃんからのお言葉とは言え、瑞希お兄ちゃんのために選んだ品、受け取れません・・・」
「くっ・・・お前―・・・!」
「ごめんなさい、瑞希お兄ちゃん!バンダナ、頂けません!」
何か言いそうになった煙草のお兄ちゃんより先に口を開く。
「お気持ちだけ頂きます!だから喧嘩しないでください!」
「喧嘩って・・・お前ねぇ~・・・」
目にしたお兄ちゃんは気まずそうにしていた。
そして、そらしていた視線を戻す。
煙草をくわえた男を見ながら言った。
「ごめん。オメーからもらったバンダナ、こいつに譲ってやりてぇーんだ。」
「・・・瑞希・・・!」
あっさりと謝罪する瑞希お兄ちゃん。
その素直さに私はドキッし、煙草のお兄さんは不意打ちされたような顔になる。
それを気にせず、気づかづに瑞希お兄ちゃんは言った。
「オメーがダメって言うなら、バンダナはやんねー。コイツが言うように、『気持ち』だけやる。」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」
「言われてみりゃぁーお前の言うことが正しいもんな。」
苦笑いして私に告げる姿。
(カッコいい・・・!)
瑞希お兄ちゃんのイカす姿勢に、ますます彼が好きになった。
「そんな!もったいないお言葉です、瑞希お兄ちゃん!」
「大げさだな、オメーは?そういうわけだから、このバンダナは、俺がこれから大事に使う。それでいいよな?」
「くぅ・・・!!お、お前ら・・・!!」
瑞希お兄ちゃんの言葉に、なぜか頬を染める煙草のお兄さん。
そんな彼の周りに、若者達が集まる。
「よかったぁ~瑞希が毎日使ってくれるって~わははは!」
「お雑巾になるまで使うんじゃなーい?」
「相変わらず、仲良しすぎコンビだな。」
「うっせー!舌引っこ抜くぞ!?」
からかう3人を怒鳴りながら、男前のお兄ちゃんは彼らを追い掛けまわす。
その姿は、小学生の男子みたいで面白かった。
「ふっ・・・・ふふふ。」
「面白いよな?」
「あ。」
しまったと思って、声の主を見る。
「よくやるよな~良いやつらなんだぜ?」
そう言って、笑顔で同意を求める瑞希お兄ちゃん。
だから返事は1つだけ。
「はい、そう思います。」
「飲み込み早ぇーな。」
それでやっと、私達の間にほんわかとした空気が流れた。


