「ご、ごめんね・・・ありがとう、瑞希お兄ちゃん・・・!」
「謝るか、喜ぶかどっちかにしろよ~?ほら、このバンダナ・・・オメーにやるよ。」
「え?」
意外な言葉を口にすると、私が返したバンダナを差し出す瑞希お兄ちゃん。
「大事にしててくれた礼だ。今してるみたいに、顔に巻いて使え。」
「ふえ!?」
口元だけで笑うと、私が顔に巻いているバンダナを軽く引っ張る。
突然の接近に、私はあたふたしてしまった。
その様子を、あはは!と声に出して笑いながら瑞希お兄ちゃんは言った。
「お前の物だ。」
「瑞希お兄ちゃん・・・!」
「受け取るよな?」
得意げな表情で言われ、反射的にうなずいた。
自然と私の手も伸びていた。
ビニールに包まれたバンダナ越しで掌が重なる。
震える手で何とか受け取り、なんとか恥じらいを押し込めながらお礼を言う。
「あっ、あ・・・あ、ありがとうございます・・・!」
絶対、今、顔が赤いと思った。
「なーに、照れてんだよー?可愛い奴。」
案の定、赤くなっていることを瑞希お兄ちゃんに指摘された。
(可愛い!?え!?私、可愛い言われた!?)
きゃーと思いながら、高まる興奮を抑える。
そんな私に気づくことなく、瑞希お兄ちゃんは言う。
「こう言っちゃなんだけど、そこまでありがたがるほどかよ、それ?」
「だ、だって・・・こんな大事な物・・・嬉しくて。」
「あははは!それぐらい気にすんな!たいしたもんじゃねぇからよ~」
「・・・・そのセリフ、こっち見ながら言ってみな、瑞希ちゃん・・・?」
「おーおー!バンダナプレゼントした親友が、メンチ切ってるぞー瑞希ー?」
「お前―!大事にするって言っただろう!?軽々しく人にやりやがって!」
「な、なんだよ!俺がもらったもんだぞ!?どうするかは、俺に権利がある!それにお前、こいつなら大事にしてくれるだろう!?」
「屁理屈言いやがって!金欠状態の時に、わざわざプレミア付きの物をくれてやったんだぞ!?この横流し野郎!くそバカが!」
「あんだとぉー!?やんのか!?」
「やってやるぜ!?」
(きゃあ―――――!!)
バンダナを巡って、思わぬトラブル発生。
「や、やめてください!」
「あん!?」
「とめんじゃねぇーぞ!」
怖い顔で言う瑞希お兄ちゃんと男前のお兄さん。
「そうはいきません!」
そこは我慢して、争いの原因をなくすべく言った。


