彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





「・・・・・・どーゆーこと?」




私を殴りに来たはずの本田が、数メートル先で横に倒れてる。

倒れた地点は違うけど、転がり続けてその場所まで行って止まったという状態。




(どうなってるの!?)




「だ・・・・誰が本田を!?」

「俺だ。」






私の問いに、耳元で声がした。

それで気が付く。

旗を持つ私の体を、肩をしっかりと抱く腕。

その手は、私を守るように抱き寄せていた。

それとは反対の手は、拳を作った状態でまっすぐ伸びている。

誰が本田を殴り飛ばしたかわかる。




「どうして・・・・・!?」




殴った人が誰なのか、見てわかった。

目で、体で感じているのに信じられない。

ここにいるはずのないその人の姿に、頭が混乱した。

わかっているけどありえない。





「どうしてあなたが――――――――――!?」




突然現れ、本田から私を持ってくれたお方。





(瑞希お兄ちゃん!?)





隣にいたのは、真っ黒な特攻服を上下に着た瑞希お兄ちゃん。

いつもと違うところがあるとすれば、私と同じシルキロールで口元を隠していること。




(な、なんでそんなかっこうで、こんなところに!?)





本当なら、店舗兼住宅で私の帰りを待ってくれているはず。






(なんでいるの!?)



「なんで、あなたがここに!?みず――――――!?」

「大丈夫か、4代目?」






私が名前を呼ぶ前に、瑞希お兄ちゃんの綺麗な手が私の口をふさぐ。





「ほにぃーはん、むむひ!?」

(瑞希お兄ちゃん、なにするの!?)




「な、なんだよ、お前は!?」





しゃべれない私に代わり、貝原が叫ぶ。





「本田さんにこんな真似しやがって!テメー、凛道蓮の仲間か!?」


「ばーか!テメーじゃなくて、テメーらの間違いだろう?」





貝原の問いに、瑞希お兄ちゃんではない声が答えた。




「むぐ!?」

(この声は!?)





まさかと思って、声がした方を見る。



(え!?)



目に映ったのは、白い特攻服のヤンキー達が山積みで倒れている姿。




「ああ!?どうなってんだ!?」

「せ、赤龍会の奴らが!?」

「いつの間にか、全員やられてる!?」




それを同じように見ていた堕裏亞の連中の言う通り、赤龍会が陣取っていた場所は、彼らがやられたことでがら空きになっていた。

そこに、4つのシルエットが立っていた。