彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「そういうことはそういうお店とかに行きなさいよ!あるいは、ビデオ屋さんや本屋さんでレンタルや購入して済ませなさい!」

「ばーか!あの真田を泣かせられると思えば、こんないい仕返しないだろう~?それとも、俺に抱いてほしいかー?」

「あんたもホモかゲイなの!?」

「ひひひ!どっちにしろ、オメーはここから逃げらんねぇーよ・・・!」

「うっ・・・・」



その言葉通り、周囲を取り囲まれていた。




(マズイ!単車で逃げるとしても、旗を持ってるからバランスが取れないかもしれない・・・!)




仮にうまく運転できても、この人数でこの人口密度。




(絶対に、旗を掴まれて振り落とされる!)




それでバイクから落ちたところを集中攻撃されたらアウトよ!




(単車を捨てて、走って逃げようか?)




いいえ、絶対にそっちの方が危ない。

旗もあるから、まだ単車に乗って逃げた方が早い。




(・・・・・・・戦うしかないのか・・・・・?)





飛翔連盟に、赤龍会、堕裏亞・・・・そして煉獄のOB達で、合計100名はいる。

100人。

土日の夜に、100人って・・・





「・・・・・・・・・・暇なのかよ。」

「あんだと?」





ボソリとつぶやいたのに、本田の耳には届いていたらしい。




「暇なわけねぇだろう、クソガキ~!?立場わきまえてもの言いやがれ、1人暴走族がっ!!」

「くっ・・・・」

(こ、こいつ嫌い!本当に・・・・あれ?)





私へと悪態をつく男の口元を見て気づく。




「本田さんでしたっけ・・・・?その前歯、差し歯ですか?」




口を開いた男の歯が、外灯で光った。

前歯と断定はできなかったが、なんとなく口を突いて出た言葉。




「――――――――――――――あんだとぉ!!?」

「ひゃ!?」




途端に、ものすごい形相で私をニラんだ。