彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





上手くいった悪だくみ。

それで安心したのがよくなかったのだろう。





ヴォン!ヴォン!!




「やるじゃねぇか、凛道蓮君よ~!?」


「え?」

(な、なに?)




バババババー!

バウン、バウン、ババババ!





突然、響いた新たなエンジン音。

びっくりしたけど、凛道蓮と呼ばれたことでその驚きは吹き飛ぶ。




(私のフルネームを呼んだということは――――――――――!?)




今までの体験からして、良いことではない。




(またですか・・・・・・・?)




呆れる思いが半分と、嫌な思いが半分。

それに加え、自分が油断していたのだと、思い知らせてくれるチャイムにも思えた。

名前を呼ばれてドキッとしたけど、すぐに警戒態勢に入る。




「おいおい、今度はなんだ!?」

「また、凛道蓮の傘下の登場か!?」




構える私からワンテンポ遅れて、貝原&大野も音のした方を見る。





「見事な、同士討ちじゃんかー?『凛道蓮を狙う者同士』を戦わせるなんてなー!?」


「えっ!?」

(バレてる!?)





ギクッ!とする内容を言ったのは、道の側面から出てきた集団。

しゃべっているのは、くわえタバコで体のごつい男だった。





「誰!?」




この人も、初めて見る人物。

でも、一部の人々は違ったみたい。





「本田さん!!」


「本田??」




言ったのは、煉獄の貝原だった。

それで本田と呼ばれた男がニヤリとする。



「よぉ、ずいぶん、無様だな~後輩共・・・・!?」

「え!?後輩って・・・・!?」




本田の言葉でハッとした。





―オメーを捕まえるためにOBを!―



「ああ!?あなた方は、僕を捕まえるために召集された煉獄の先輩!?」

「わかってんじゃねぇーか、クソガキ?」





そう告げると、本田は口にくわえていた煙草を地面へと落とす。




「あの真田瑞希が指名したってガキだろう?どんないかついのかと思えば・・・・可愛いじゃねぇ~かー?」


(・・・・嘘だ。)




可愛いと言うわりには、その顔は可愛いものを見る目ではない。




〔★憎しみが、こめられていた★〕