彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)





私の作戦通り、堕裏亞VS反凛道蓮同盟による修羅場が出来た。




(我ながら、ひどいウソをついたなぁ・・・)




からんできたのはあっちだけど、ケンカ売ってきたのは相手だけど。





(やられっぱなしじゃ、自分の身を守れない。)



―絶対死ぬなよ、凛―



(瑞希お兄ちゃんとの約束を果たせない。)





そう思って、ヤンキー達をあざむいた。



携帯を通話中になんかしてない。

飛翔連合はもちろん、赤龍会だって味方になってない。

真っ赤な嘘。

これもすべて、私への敵意をそらすため。




(凛道蓮の追っ手を消すためとはいえ、こんなバトルロイヤルになるとは・・・・)



「死ねコラ!」

「やりやがったな!?」

「この下種野郎!」




熱い火花を散らし、入り乱れて戦う不良達。




(まさか、ここまで激しく喧嘩するなんて・・・・)




まぁ、目的は達成できたから、これでいいのかな?

というよりも・・・・




「大体オメーら、群れれば強いって勘違いしてるところがムカつくんだよ!族は数じゃなくて、チームワークなんだろう!?」

「はあ!?大勢まとめられる奴こそ、てっぺん取れるゾッキーの悪(わる)だろうが!?時代遅れなんだよ、オメーの考えは!」



(半分は、日ごろの恨みというやつかしら・・・?)




そう考えてもよさそうな会話。

聞こえてくる罵り合いに、むなしくなる。




(これだから、世の中から戦争がなくならないのね・・・)




〔★その戦争の火種を作ったのは凛である★〕





(とにかく、早く立ち去ろう~)



身を丸め、コソコソと移動する。

ついでに、運転しやすいように旗も丸める。

ポールにグルグル巻きにしてから、たたすきで縛った。

それができるやいなや、乱闘からそーと抜け出す。

ぬきあし、さしあしで、戦場を背にバイクを押して逃げる。




(これで私は赤の他人~!)




〔★凛は無関係を決め込んだ★〕