――

時間は過ぎて、放課後。

部活がある深雪ちゃんと玄関で別れてから、私は熊井さんに体育館裏に来ていた。

体育館裏といえば、告白……まさか本当に告白!? きゃー、女の子同士なのにー☆

なんてね……二回目。 さすがにくどいか。


「……熊井さん、話ってなぁに?」

私は熊井さんに聞いた。 熊井さんは真剣な顔で答える。

「あ、球磨で良いクマ。 クマも楯子って呼ばせてクマ。 ……これから話すけど、それを聞いて、クマにどん引きしないでほしいって、最後まで聞いて欲しいってお願いするクマ」

……何を言う気なんだろう。
それに、下の名前で呼び合う……深雪ちゃん以外の人で初めてな気がする。

「ありがとう、球磨ちゃん。 わかった。 ちゃんと聞くよ」

私がそういうと、熊井さ……球磨ちゃんは――




―――ものすごい勢いで土下座した。

「え、球磨ちゃ……」

「お願い! お願いするクマ! クマとおなじ、魔法少女になって! できることならなんでもするクマ!」

私の言葉を遮って、球磨ちゃんは言った。

ああ、きっと球磨ちゃんのスカート土で汚れてるよ……。
それと一瞬ガチで告白されるかと思ったから違って安心した。

「球磨ちゃん……えっと……」

私はとりあえず、一番の疑問を言葉にした。

「……私、土下座されなきゃ何も承諾しないほど、怖かったかな……? ……あ、顔あげるのちょっと待って……この位置だとスカートが……」

私が数歩後ろに下がると同時に、球磨ちゃんは体を起こし、正座のような体制になって、それから答えた。

「……いやいや、違うクマ! クマだって、言うの迷って、でも、楯子なら言って大丈夫って……信頼ゆえの話クマ!」

「……信頼…………」

そんなことを言われたのは、もしかして初めてかもしれない。
少し、嬉しい。

……ん?
ちょっと待って。

……なんだ、魔法少女って。