「私は...私は、葉山 遙子の妹です。」

ズキンと、心臓の奥の奥のもっと深い奥のほうが傷んだ。


やっぱり、僕は、葉山 遙子という人間を知っている。

「先生、ううん、翠斗くん。」

この声で、呼ばれることに懐かしさを感じた。
あのやぶ医者しか呼ばないはずの呼び名が妙に安心感を与えた。


「翠斗くん、覚えてないよね?おねぇちゃんのこと。」

「......おねぇちゃん。」

「そう。葉山 遙子。」