(仮)恋の幻想曲


「おっ、響哉おはよう」

「あはははー…」


さっきまでの威勢はどこへやら。
紫苑君の手に握られていたトランプは隠すように後ろへ。


「おはようございます。
それより紫苑、今何か隠しませんでした?」

「ギクッ! い、いや隠してねーよ。お前の見間違えだって」


どうして嘘をつくんだろう。
もしかしてこういうのに厳しい人なのかも!


「……本当か理皇?」

「あぁ。それより自己紹介だろっ」


そう言うと理皇君は私の肩を掴んで自分の前へ。響哉君は私を凝視している。


「初めまして、蔵橋 奈々生です」

「貴方が暦の……俺は小鳥遊 響哉だ。
どうぞよろしく」


近くで見るとこの人もイケメンだ。
清潔感がある髪に眼鏡の奥から見つめる瞳。眼鏡が似合う人はなかなか居ない。背も暦より高い。


「……あの、一つ聞いても良いかな」

「俺が答えられる物なら」

「えっと…女子って私だけなの?」

「…………あぁ」


暫くの沈黙の後、理皇君は答えた。
男子だらけの生徒会に女子が一人……
これって逆ハー!?