「……おはよう、フィル、リコ。あれ、またフィルはリコに負けたんだ?」

私はフィル君を放置して廊下を通りかかったお師匠様に飛びついた。

「おはよーアルさん!フィル君はピュアですからー可愛いよねー」
「ねー」

二人でフィル君を愛でる同盟を組んだ私達は、にこにことダイニングへ向かった。
アルティスの金色の髪が背中でさらさら揺れる。

「あれえお師匠様、髪の毛結んでないの?」

「リボン無くしちゃった」

「じゃあ私のあげるーピンクで可愛いけど」

魔法使いって髪を伸ばすんだって。説明聞いたけど良く分かんなかった。その方が強い魔法が使えるとかなんとか。
ちなみにフィル君は紅茶色。赤みがかった茶色でまだやっと後ろで結べるくらいの短さ。これが首の後ろにしっぽついてるみたいで可愛いんだよねええ。

「ほらーフィル君ごはんー」

振り返って呼んでやれば、彼はハッと復活して叫ぶ。

「って、待てコラ!!お前少しは恥じらいとか!っていうか食事当番お前だって!ってお師匠さまにべたべたすんな、痴女!」

「あらやだーお師匠様、フィル君が私を辱しめるー」

「言葉の選び方!!!!」


まあ、なんだかんだ今日も平和です。