私はにっこりと満面の笑みで振り返った。

「てなわけでお師匠様、お年玉下さい」

「あまりにも自然にスルーされてたから私の存在に気付いていないかと思っていたよ」

今日もお師匠様は綺麗なお姉さん達とランチ中。
毎回違うお姉さんを連れているお師匠様のさすがの腐れっぷりももう慣れた。

アルティスはにっこりと微笑んで、財布を取り出して。

「リコには可愛くおねだりして欲しいんだけどなあ。お年玉あげるからお師匠様と付き合わない?」

「お師匠様!それは援助交際という名の犯罪です!!危険な発言は控えて下さい!!!」

ついにフィル君のツッコミがお師匠様にまで向けられた。
私はアルティスが差し出した金貨をサッとポケットに押し込んで笑顔を向けてみせる。

「ふふん、良かろう良かろう。お買い物かね?薬草取りかね?このリコさんが付き合ってしんぜようではないか」

「リコもそう言う意味じゃねーが、簡単に買収されるな!しかも何故、街角の紳士風口調……!?」

「可もなく不可もなく、それなりに民に慕われている出世街道からやや外れたトーマスさん52歳よ」

「それここの町長じゃねえか!!」

絶叫するフィル君。うるさいですよ、店内で。
厨房から店長が睨んでいるじゃないの、私を。コラ、何故私を睨むんだ。